第6話 初報酬!

ギルドに戻ってきた俺はふとある事を忘れていた事に気付く。


(あ、サインとか貰って無いじゃん…!そこら辺聞いてみるか…)


恐る恐るカウンターへ近付く。


「あの…クエストを終えたのですが…」

「はい、ではカードをご提示下さい」


カードを渡すと何やらスキャナーの様な物に差し込む。


「えーっと、ジェイルさんで薬草採取で「それなんですが…」…はい?」


受付の言葉を区切って俺はサインの事を話す。


「あ、サインですか。大丈夫ですよ。このクエストは常時貼っているギルドのクエストなのでこちらで薬草を確認してサインをしますので」


あ、あの薬草ってギルド自体が出してるクエストだったのか。

一安心して俺は持っていた薬草をカウンターに乗せる。


「随分と取りましたね。治癒ポーションには欠かせないので助かります。ではお預かりしますね」


薬草を受け取り、何やら文字盤のある黒い箱の中に入れる。

すると数字がカタカタと増えていっていた。

あれで数を数えてるのか…

そして計算が終わったみたいでその数量が表示された。


数字は109本


薬草は1本に付き銅貨1枚だから銅貨109枚…て事は…銀貨10枚と銅貨9枚って事か?


「はい、計算が終わりました。今回は薬草が109本なので銀貨10枚と銅貨9枚なのですが本数が100本を超えたのでプラス銀貨1枚、合計銀貨11枚と銅貨9枚の支払いとなります」


ご確認を。とトレーの中に銀貨11枚と銅貨9枚、そしてギルドカードが置かれていた。

ありがとうございます。と言ってそれらを手に取り、俺はギルドを後にした。



◇◆◇◆◇◆



「さーて、収入も得た所で試しに…って言ってるそばから見っけ♪」


ギルド前でやっている屋台を見付けた。

売ってるのはどうやら焼き鳥…?みたいな物だ。


「すみません、これで1本買えますか?」


俺は試しに鉄貨を1枚渡してみる。


「らっしゃい!鉄貨だと串に2つだけ刺して焼くけどいいのかい?」


鉄貨1枚で肉2つか…ふと周りを見てみる。

周りは子どもばかりでどの子も串に2つ刺さった肉を頬張っている…って事は…


この焼き鳥は前の世界でいう駄菓子みたいな物か?


俺はそれで構いません。と鉄貨を1枚渡し、焼いてくれるのを待った。


「へいお待ち!」


タレがかかった謎の生き物の肉。

恐る恐る食べてみるとほぼ鶏肉だった。


(うっま…)


え、マジで美味いんですけど…

というか酒欲しい…


すぐに食べ終わってから気付く。

串…どうすんの?


「あの、この串って…」

「ん?あぁ、そいつならその水の入ったバケツに入れてくれ。帰ったら洗って再利用すんのよ」


間違っても持って帰らないでくれよ?と言われ、俺は食べ終えた串をバケツの中に入れ、その場を後にした。


(よし、大体硬貨の価値は分かったから次は宿だ。宿を取ってそこで色々と今後の方針を決めよう)


俺は宿探しにと暗くなり始めた街を歩き出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る