第2話 そもそもどこで躓いた
実際、俺が友達との差を感じたのは、ここ数年のことだろう。
ありがたいことに家庭環境に恵まれた俺は、地元の大学まで行かせてもらった。
昔からの友達とはより濃密な関係を築き、部活や教室でしか遊ばなかったメンバーとは、酒を酌み交わしながら夜を明かすほど仲良くなったものである。
大学生にもなれば、盛り上がる話はバイト先の愚痴か、異性とのエピソード。
特に後者は、いつ話してもネタが尽きることはなかった。
俺の友人は、当時からまぁモテる。
実際、今よく集まっているメンバーでパートナーがいない人は俺だけ。
みんな彼女や嫁、遊び相手がそれぞれいる。
だからこそ、バイト先で後輩に飲みに誘われただの、学校で合コンに呼ばれただの、いつも浮いた話ばかりだ。
かくいう俺も、話せるエピソードが無かったわけではない。
ただ、俺の方は決まって失敗話。
誘ったけど断られたとか、そんなのばかりだ。
最近になって、やっと友人の1人が女の子を紹介してくれたのだが、そこでも一波乱あったのはまだ記憶に新しい。
その話は、また別の日のネタとして取っておこう。
要するに、俺だけが成功体験がなかったのだ。
学生時代の淡い恋愛を経験せず、常に苦いものを噛みしめていた。
それでも、まだ俺は気にしていなかった。
はっきりと周りとの差を感じたのは、今年の正月。
いつものメンバーで酒を飲んでいた時に、A君から真顔でこんなことを言われた。
A「お前は今の状態だと、どこに行っても誰からも見向きもされない。
俺はお前を紹介できないし、誰も受け入れてくれないってことを理解した方がいいよ」
そんなことを、正月に飲み屋で滔々と語られた俺は、怒りやら虚しさやら、一言で表せられないような訳の分からない感情でボコボコに殴られたのである。
A君は、この前のクリスマスに彼女へプロポーズをして、無事結婚することが決まった。
ちょっと良いホテルで、夜景に祝福されながら2人が結ばれたのは、まだ記憶に新しい。
とにかく、順風満帆なA君から一方的にそんなことを言われ、何が言い返せるだろう。
だけど、たしかにその頃の俺はお世辞にも格好良いとは言えない、残念な見た目をしていた。
今も大して変わらないが、昔の努力をしてない頃からは変わっていたら嬉しいけど。
でも、その飲み会から俺は自分の立ち位置が『友人』ではなく『残念な道化師』なのではないかと疑うようになった。
思い返せば、なんかそんな気がする。
このことはみんなに聞けば、当然否定された。
しかし、今これを書いている数日前に、B君から衝撃的なことを言われたのだ。
B「お前のエピソードとか悩みって、可哀想だなと思うけど、俺には絶対ありえないなと思って楽しんでたよw」
B君とは、この地元メンバーで一番関係が深いと言っても過言ではない男だった。
喧嘩もしたし、あいつが困っている時に助けもした。
そんな信じていた奴から、笑いながらそう言われた。
その時、俺の中で全てが壊れる感覚がしたんだ。
先日の飲み会で、B君への怒りが漏れてしまい、他の女の子の前で『こいつやべぇな…』と悪役にされてしまう。
きっとあの飲み会の噂は、すぐ他の知り合いにも広まるはずだ。
みんなは仲が良いから。
もう地元に俺の居場所はない。
あっても、そこに安心して胡坐をかける気分じゃなかった。
ずっと見下されて、不幸を嘲笑われていたことに気付いた俺は、今こうしてキーボードを叩いている。
このことも、バレたら笑いのネタになるはずだ。
でも、きっと俺のように友人関係という名の本来信頼できるはずの空間で、言葉に出来ない違和感を覚えている人もいると思う。
もう交わることのない友人だった人への配慮より、俺がやりたいことをやると決めた。
どうせこんな思いをしたのなら、この経験もネタにする。
それが我々物書きの習性なのだ。
このブログみたいなことを始めてから、少しだけ自分を客観的に見ることが出来始めているのだが、正直俺も悪いとこだらけだからどうしようもない。
次のブログでは、過去の失敗エピソードでも話していこうかな。
あいにく、失敗のネタに困らない人生だから永遠と書けるかもしれん。
ではでは、変な時間に起きちゃったからそろそろ寝るぜ。
おやすみ。
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