第七話 博物館の内情

『よろしくね、スグル』


 あの夢のような夜が明け、無事レポートも提出できた。

 単位も何とか落とさず、夏休みに入ることができた。

「スグル、館内の全体に何があるか案内するよ」

「一応館内にあったガイドとマップなら、家で見直したんすけど」

「そろそろ閉館時間だ、一般公開していない部分の案内になるね」

 館長と一緒にある提案をされたのは数日前のことだ。


「俺を臨時の学芸員に?」

「うん、今職員が旅に出ていてね」

「旅って例の魔道具集めっすか?」

「違うよ。あれは月明かりの晩にしかできないし、あっちに入れる期間は1週間だけ。戻ってくる時間は飛び込んだ晩だよ。僕らの時も君が囚われてたのは2日間だったし」

「俺2日間も捕らえられたんすね…」

「魔道具集めは基本僕が担当、彼は表向きの資料や展示品探しをしてるから次に帰ってくるのは君の夏休みが開けるころかな?」

「そうだったんですね、だから俺がバイトとして雇われたんすか」

「うん、裏は足りてるんだけど表のほうがね」

「表の方って館長と今いない職員さん以外誰かいました?食堂とかにロボはいましたけど」

「ロボ田のことかい?」

「ロボ田って名前なんすかアイツ」

「表立って動いているのは僕と桐谷、案内用ロボ田が3台、監視巡回ロボ田が3台くらい」

 もう一人はきりやさんていうのか。

「ほぼロボっすね」

「見えないところは君を博物館に誘い込んだ妖精とか居場所が無くなった妖怪とかこっそり表でもフォロー入ってくれるんだよ。」

「妖精に妖怪」

「小さい子にしか見えないから、キッズルーム担当なんだよ」

「以外に職員は多いんすね」

「ただ大人の相手がね。皆君みたいに話しかけてきてくれたら答えるんだけど、遠巻きに写真を取られたり」

 噂通り美形だから話しかけづらいだけだな…

「飴とかお菓子を渡されたり」

 館長の年齢が若く見えるからだろうな、完全に子ども扱いされてる。

「桐谷はうさんくさいって言われてるから、こっちから声かけても余計悪化するだろうし、君みたいに話しかけやすい人がいると助かるんだよ」


 その話を了承して現在、博物館の閉館作業を終わらせ夜の博物館を案内してもらっている

「一般公開してないところには何があるんですか?」

「うん、一般公開していないのは保管室。君の言う魔道具を保管している。」

「じゃあこの前の首飾りもそこに」

「あれは比較的かさばらないし、神秘の力もそこまで強いものではないから管理しやすい位置にあるね」

「その神秘の力ってどんなものなんですか?」

「そうだね…昔僕らみたいな人以外の生物と君ら人間の数が同じくらいの頃に、面白がって人に干渉する僕ら神秘を扱える生物」

「そして君らでいう黒魔術を使って僕らを呼び出し神秘の力を使わせる人間がいたんだ。」

「そのせいか現代では僕らみたいな生物は数が少ないし、扱えるのも限られているから今はほとんど出回ってないよ」

「以外に歴史が古いんですね…館長も神秘の力使えるんですよね。俺の記憶を消そうとしたときとか、目でこう」

「え、あれは集中してもらうためで道具に頼るつもりだったんだけど」

「え、そうだったんデスネ…」

「顔が赤いぞ、熱中症には気をつけないと」

「そ、それより!!保管室も結構広いっすね!!展示室と同じくらい!!」

「より強い力ある物は奥のほうに厳重保管しているんだ。その腕輪があっても危ないから僕と一緒にね」

「はい」

「そうだ、次に回収するものが決まったんだ」

「魔道具回収…何を回収するんですか?」


「1429年フランス、聖女ジャンヌダルクの旗だ」

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