関係者インタビュー:「迷路」(※非公表)

 …また、というか。


 困るんですよね。

 科学館の外にある迷路なんですけど。


 そこで実験を行うとかで、学生さんが数人。


 …ええ、もう何回目ですかね。


 ――ああ、そう。七回目。

 まあ、そう言うことで。


 カメラを持って、中に入って。

 出てこなくなる。


 年、いや半年単位でやって来て。

 もはや警察を呼ぶのも諦めましたから。


 学割がきくからとね。

 一応、学生証も確認するんですけど。


 最初に来た時から歳を重ねた様子もなくて。


 あ、何枚かコピーは取らせてもらってます。

 警察の話では、在籍ざいせきしていないはずなんですが。


 一応、参考というか。

 証拠として残しておく形で。


 …ええ、そうなんです。

 話を聞いても、毎回初めて来る様子で。

 

 説明しても、引き止めることすらできなくて。

 結局、全員で奥に行ってしまうので。


 そうなると、もうお手上げで。

 教えられた動画サイトを見るしかないんです。


 …そうすると。

 が始まるわけでして。


 そんな感じで動画も積み重なって。

 もう、十本近くになりますね。


 どれも生配信で。

 現在進行系で彷徨さまようかたちで。


 …あ、中に行きますか?

  

 いや、そのうちの何本かなんですけど。

 途中で倒れている人が映って。


 警察の見立てでは。

 半年以上は、そのままの状態らしくて。


 その人、アナタとよく似た背格好せかっこうで。


 …一応ですけど。

 いま一度、確認させてくれませんか。


 ――本当に、中を進むつもりですか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る