関係者インタビュー:「シート」
…業者も、あそこまでは広げていないとさ。
確かに、遺跡のある土地だとは言ったよ。
だから工事をすると一部が見つかることもある。
――かと言って、工事現場に入るのはダメだろ。
いくら遺跡に近いところと言っても。
改装中のビルに入り込むのは危険なんだから。
ドキュメンタリーか何かは、知らないがね。
資料のためとはいえ、どうかしているよ。
おかげで工事はストップしているし。
未だ、手がかりすら見つかってない。
…何なんだろうな。
そも。あんな、シートまみれじゃないんだよ。
建物内を区切るように。
地下に行けと言わんばかりに繋がって。
最初の一枚をめくってから、ずっと歩いて。
…確かに、駅前だからさ。
地下道で繋がってはいるんだよ?
でも、あそこまで広大でもないし。
――それに何だ?
もう何日間も歩いているんだよ。
シートの迷路みたいなところをな。
遺跡探検みたい!
…なんてコメント、いらないんだよ。
延々とライブで流すなよ!
…うん、そんな感じで。
いつまで経っても戻ってこない。
こっちも責任者として話している状況だから。
でも、目下捜索中で進展すらない。
警察にも協力してもらっているけどさ。
下手すりゃ、このまま中止も視野に入れてる。
その際の損失はしょうがないんだよ。
…問題は、あの中を歩いている連中だよ。
――気味が悪いというか。
気づいちまってな。
あの連中のウチの一人がしているデジタル時計。
秒がさ。
一切、動いてないの。
シートの中をしゃべりながら歩いて。
リアルタイムで動画を流しているはずなのに。
工事現場に入った時から。
まったく動いてないの。
…なあ、これ。
どうなんだろうな。
シートの向こうもさ。
裏から光が当たっているのか、明るくてな。
――でも、その光源が。
そも、カメラのバッテリーはどうなっている。
連中の寝食だって一度も見ていない。
あの画面の連中も。
本当にそのままの姿で映っているのか。
…今、それすらも分からないのが現状なんだよ。
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