最終話:ガイノイドの感情。
「だから、私みたいなセクサロイドが好んで作られるんでしょ?」
「まあ、そりゃやったらそれでよしなヤリモクもいるけど・・・俺は違うよ」
「好きな子のことは大事に思ってるよ・・・俺はヤリモクとは違うから・・・」
「幸太さんはセックスがしたいからセクサロイドの私を買ったんじゃない
んですか?」
「そりゃセックスできないよりできた方がいいに決まってるけど、俺はそんな
下心で茲音ちゃんを選んだわけじゃないからね」
「普通の人間のカップルみたいにデートして、一緒にご飯食べて、一緒に遊んで、ハッピーを共有したかったから茲音ちゃんを選んだ、って思うけど・・・」
「酔ってて覚えてないけどね・・・はは」
「まあ俺のほうは君を見た時から愛しちゃってるから問題ないんだけどね」
「だったらやっぱりセックスしましょ?」
「そこから離れないね、茲音ちゃん・・・セックスはお互い相思相愛になって
からでよくね?」
「愛が欲しいなら、幸太さんが私を買った時点で私ちゃんと幸太さん愛してます」
「いやいや、それってプログラムだろ?茲音ちゃんの本心じゃないだろ?」
「プログラムなんかじゃありません・・・私の感情です」
「え〜感情なんかあるんだ・・・ガイノイドなのに?」
「じゃ〜風俗のおネエちゃんもたぶん感情あるな・・・めちゃ俺に優しいもん」
「それは商売だからです・・・誰にでも優しいんです、そう言う
「って言うか幸太さん風俗なんか通ってたんですか?・・・わあ不潔、浮気者」
「あのね、それって茲音ちゃんが俺んちに来る前のことだから浮気になんか
ならないの・・・それに不潔ってなんだよ、ちゃんと風呂に入ってからやってるよ」
「そうだ風俗で思い出したけど、茲音ちゃんも風俗のおネエちゃんみたいに
フレンドリーになってくれない?」
「だから今からセックスしましょって言ってるでしょ?」
「そういう意味じゃなくて・・・」
「敬語やめないって言ってるの・・・茲音ちゃんは俺の彼女なんだから・・・」
「うん、分かった・・・普通にしゃべっちゃうね」
「うわ、はや・・・すげえ適応能力」
「それじゃ〜さ、セックスはまあ今後の課題として、とりあえずハグとチュー
ならしてもらっても差し支えないと思うけど、いい?・・・やっぱり君は俺の彼女
だし・・」
「ハグとチューも愛情の
「あ、そ・・・じゃ〜いい、我慢するから」
「我慢は体によくないと思うけど・・・」
そう言うと茲音ちゃんは、俺にスリスリすり寄ってきて、でもって俺を優し〜く
ハグハグしてから鼻の頭とクチビルにキスしてくれた。
キスはチュってして終わるのかと思ったら、めちゃねっちりしたディープなキス
だし・・・。
つま先から頭のてっぺんまでジーンとした快感が走って腰砕けになるところだった。
「わ〜なにこのキス・・・トロけそう・・・」
さすがセクサロイド・・・性行為に対してのテクは熟知してるんだ。
なんて気持ちいいのかな・・・これから俺の生活はこういうホットでハッピーな
毎日に変わって行くんだな。
俺が酔っ払ってなかったら、たぶん今ここに茲音ちゃんはいなかっただろうから
それを考えるとつくづく酔っ払っててよかったって思うよな。
「あの、ごめん・・・もう一回ハグとチューしてもらっていい?」
「いいよ・・・って言うか、そのままセックスしちゃおうよ・・・愛なんて
いいじゃん」
「あのさ、君が俺んちに来てからセックスの話しかしてないと思うけど・・・」
「一旦、そこから離れない?」
「だって私、セックスするために幸太さんのところに来たんだもん・・・そうじゃ
なきゃと私の存在意義を問われちゃう」
「いやいや、君はそれだけのためにいるわけじゃないと思うけど・・・」
「俺は茲音ちゃんがそばにいてくれるだけで充分癒されてるよ」
「それに、ここで君の誘惑に負けてセックスしちゃったら、さっき俺が愛について
語ったことが全部、絵空事になっちゃうじゃん」
「愛なんて言ってないでセックスしたら自然にお互いの気持ち分かり合えるよ」
「どうしても俺とセックスしたいわけ?」
「うん・・・だって私、セクサロイドだもん、それが私の唯一のプライドだよ」
唯一のプライド?・・・その言葉はちょっと切なかった。
その時、俺は茲音ちゃんの唯一のプライドを大事にしてあげたいって思った。
彼女を傷つけたくない。
茲音ちゃんの言う通り、愛なんてカッコつけてないで素直にセックスしたら自然に
お互いの気持ち分かり合えるのかも・・・。
そんな訳で結局俺は茲音ちゃんの誘惑に負けて、そのままセックスしてしまった。
最初は付き合うことから始まって、じゃ〜いいよってなってセックスなんだけど
俺たちの場合はセックスが先になっちゃった。
茲音ちゃんの唯一のプライドのために・・・。
おしまい。
茲音ちゃんはミステイクな出来事で俺の彼女になった。 猫野 尻尾 @amanotenshi
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