第3話:キャンセルも返品も効きません。
「正直言ってめっちゃ彼女欲しいって思ってましたから、たぶんですけど、昨夜、
俺、めちゃ酔っ払ってたから無意識にお宅の店のサイトに行ってポチってやっちゃったんじゃないでしょうか?」
「お店のほうには幾度か顔だしてて、そん時パンフを貰って帰ってたから、きっと
それ覚えてて曖昧な記憶からアクセスしたんだと思うんですけど・・・故意じゃなくてもそれって責任取らなきゃいいけないんでしょうか?」」
「責任って言いますか一度ご購入さないますとキャンセルも返品も効きませんが」
「キャンセル効かないの?・・・普通は効くでしょ?」
「ガイノイドなんて基本高いですよね?俺に買えるわけないじゃないですか?」
「ローン返済になりますね、毎月ほぼ10万ほどの返済になるかと・・・」
「待ってよ・・・覚えてないんだって言ってるでしょ?」
「覚えてようが覚えてなかろうが、福山様がこの子をお買いになったことは
既成事実ですから」
「お望みだったんでしょ?・・・ガイノイドの彼女」
「それはまあ、そうですけど・・・」
「ご購入おめでとうございます、これは契約書のコピーです、データでも
残しておりますが、一応書類としてもお渡ししておきます」
「ではこの子はこのまま福山様宅に納品と言うことお取引成立です、この子は
このままお宅に置いて帰りますから、あとは福山様のご自由に・・・」
「さ、茲音さん・・・あたなからもお願いして」
「この度は私を買ってくださってありがとうございました、これから末長く
よろしくお願いします」
そう言って彼女は頭をさげた。
たしかに俺の理想のガイノイド・・・覚えてないけど、それでもちゃんと確認して
俺はこの子を選んだんだろうな。
しかも
韮澤さんは茲音ちゃんを俺の部屋に置いてさっさと帰って行った。
「あのさ・・・なんて言ったらいいんだろ?」
「俺の部屋にいらっしゃい・・・ってことらしいから茲音ちゃんは今日から
俺の持ち物・・・あ、いや俺の彼女・・・だけどいい?」
「よろしくお願いします・・・福山さん」
「じゃなくて彼氏、彼女なんだから俺のことは福山さんじゃなくて幸太って
呼んでくれていいからね」
「はい、幸太さん」
「あのさ、ガイノイドの彼女って、どんなことしてくれるの?」
「基本的に私は幸太さんの彼女ですからラブラブなんかできちゃうわけです、
ハグしたりチューしたり」
「他に甘えたい、癒されたい、わがまま言いたい、そう言うのも私、ちゃんと
受け入れますから」
「おっしゃっていただければ幸太さんの望むリアルな彼女感をご提供します」
「プラスαでセックスなんかもできちゃいますから、いつでもおっしゃって
くださればシャワーして待機してますから・・・」
「人間でもないのにシャワーなんか必要なの?」
「キレいキレしませんと・・・私、生理機能ありますから・・・」
「なにそれ・・・生理機能って・・・ガイノイドだよね・・・」
「私、ご飯も食べますし、排泄もするんですよ、セクサロイドですから」
「厳密に言えばセクサロイドは普通のガイノイドより人間の女性に最も近く
繊細かつデリケートにできてるんです」
「だからシャワーしませんと・・・いろいろ汚れちゃうから」
そうか・・・
だったんだ・・・生殖機能だけじゃなくて生理機能もちゃんとついてんだね。
酔っ払ってながらでも俺はそこは外さなかったんだな・・・偉いぞ俺。
ないからな。
彼女がいるのに他のセクサロイド抱きに行くなんて、それって浮気じゃん。
な、わけで俺は俺のミステイクでガイノイドの彼女を買ってしまって家一軒建つ
くらいの借金を背負ってしまった。
※アンドロイドでもガイノイドでも労働だけに従事する者の中には生殖機能も
生理機能も持たないヒューマノイドも存在するのです。
だから茲音ちゃんは特別仕様なんですね〜。
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます