4話:依頼と時間

メール事件(?)から数時間後俺はようやく依頼の作曲が終わった


「かぁぁぁ…」


カラスのような声を出した俺は机に突っ伏した。

流石にぶっ続けでやると疲労がたまる。


「つかれたなぁ…」


ため息を吐き時計を見ると昼をすでに回っていた。

俺は悩んだ。

空腹感はある。でも何かを作る気力はない。かと言ってコンビニに買いに行きたくもない。

・・・やっぱあれか。


「出前にしよう」


スマホでアプリを開き何かうまそうなものはないかと画面をスクロールする。

ラーメンや蕎麦、カツ丼、うな重など色々なものが並ぶ。

・・・なんか腹減りすぎてなんでもうまそうに見えてきたな。


よしっ

「カレーにしよ」

選ばれたのはカレーだった、しかも少しお高めのやつ。


「来るまでイラスト描くか」


頼んでから少ししないと届かないからな。

俺はペンを持ち液タブに線を引いていく。

超大まかな構図を脳内で決めそれを当たりとしてまず描く。そして次に下描きを描く。今回は女性キャラの依頼だったので依頼主からの資料を見ながら描いてゆく、とどんどん集中が深まっていった。


そんなこんなで十数分するとドアのチャイムが鳴った。

「来たかな?」

内心ウキウキでドアを開けると案の定配達員の方がいた。


「月見里拓矢さんで大丈夫ですか?」

「はい」

「ではこちらご注文の品でございます。」

「ありがとうございます…!」


受け取ってドアを閉めるといい香りが立ち上る。


「ん〜。うまそうな匂い」


もう我慢できなくなりキッチンに小走りで向かった。

スプーンとコップを持ち机に座る。


「いただきまーす」


手を合わせ、言ったあと口いっぱいにカレーを頬張った。


やっぱりカレーはいつ食べてもうまい。

辛さもちょうどよくゴロゴロの具材がまた良い。


「至福だ…」


俺は黙々とカレーを掻き込んでいった。


カレーを食べ終え満足感に満たされた俺は再び依頼に取り掛かる。

といってもあとは色と影とかだからすぐ終わるな。

よし…集中!



しばらくして作業が終了した俺は椅子の背もたれにもたれかかってぐだっとした。

「終わったぁ…」

疲れが意外と身体に応える。

それにプラスして眠気も襲ってくる。どんどん意識が遠のいてく。

それでも時間が時間なのでアラームをかけようとスマホに手を伸ばすと、ある活動者の動画が目に入った。


『初オリジナル曲!〜〜〜〜〜〜』


「オリジナル曲…」

呟いた瞬間俺の頭の中にあるアイディアが浮かんだ。とても斬新でリスナーの心を掴めそうな考え。


「初配信のあとでオリジナル曲を投稿すればいいんだ!!」


思い立ったら吉日、スタッフさんに確認を取り作曲に取り掛かる。

ここまで心躍る作曲は久しぶりだ。どんな曲かはさっき思いついた。

そのイメージを元に軽くピアノで打ち込んでいく。そこにドラム、シンセサイザー、ギターなどと音の幅を増やしていく。

「(ここの音はカットして他の音を際立たせて、こっちは、、、この音を重ねて…)」


完全に集中状態に入った俺は時間などすべて忘れ作業に没頭した。

「よしっ!できた!」

完成したのは朝になってしまった。

俺の曲の集大成であり最高傑作であるこの曲はきっと俺のデビューに大いに役立ってくれるだろう!多分!!


それからさらに数時間後、イラストも完成させた俺はベッドに転がりスマホを触っていた。

するとメールがLyR1c BeAtから送られてきた。


なんだと思い開くとそこには

『月見里さんが今後使用するアバターの準備が整いました。アバターと機材の説明、同期の顔合わせ、そして月見里さん個人へのお話を予定しておりますので◯月◯日11:30に本社までお越しください』


なんか多くね?

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