第五章:憲兵

緋には百合

憲兵の花攫みをりしゆゑ

憎憎し、


厩より東へ馬籠

ふるきは木蓮華

そを毀しつつ窕たる第七庭へと到りぬ


きさま、たが尖兵なるか!


折しも

手折る梅が枝へ、

しろきはなたつにほのかそけし


たれよばふかいのちあるかなきかのをさなきはなへ

秋霜降つて涌きぬれど

いつしらに

冬立ちゆかば

青年の醒めき襟頸

軍のごといとど昏かるを


一瞥の目にし見離きぬ


汝がながながし敵は汝がまなかひにこそをりき


そが仇敵なるや、臣君


はつと醒めにし蚊帳ぬちへ、

散らばりやまじ、百合のはなかはうつつならずに

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白露集 鷹枕可 @takuramakan

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