第四章:花筐

狂女ありけり、


都鳥

なきそ

なきそ

なかざれば


わが咽つたふすぢいぞや


雁衣わびし、

鄙にも

花ぞあらまほしくは

君のいみじうおろかなりし

夷心ならめや


口惜し、

そがおもざしこそわすれをらざれば

紅葉葉みつる

しろたへの秋別れがれにわかちぬ袂こそをは憂ふるものを


なくかは

なかず

なかざれば


なが憎々しきほほゑみこそ討たむと思ふに

なくや

おとろへはてたる

をみなは


寂しきは道行、

女男がおちゆきに


黑き紅葉がふたひらほどをとどむるに

落ちしは水蔭

梢には六花


いみじうながき冬枯の、越方へゆかむとぞおもふ

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