食洗器
別にお金の余裕があるわけでもないのに、いつぞやに友だちが「食洗器っていいらしいよー」と鼻をほじりながら言っていたことが忘れられず、ポチッと購入してしまった。
届いたときは、「クソデケエ……」が一番の感想だった。
サイズを測ることもせずに、「まあいけるやろ」と適当に買ったからな。どんな大きさなのかイメージもついていなかった。
俺が購入したのは、工事不要の食洗器だ。食洗器に自分で水を注ぎ込むタイプ。
はい。早くも後悔しました。
食洗器を使うためには、2リットルの容器に水を入れ、それを給水口に注ぎ込み……を4回繰り返す必要があった。毎回自分で水を注ぐのは、クソほどめんどくさいです。
そこで俺は考えた。どうにか楽をできないか。
そこでたどり着いたのが、ホースを購入することだった。
炊事場の蛇口にホースを突っ込み、蛇口をひねるだけで食洗器に水が注げるようになるのでは、と考えたのだ。
早速俺はホースをポチッた。
しかしなんてバカなのだろうか。ホースの直径を何も測らずに購入したのだ。
奇跡は起こらず、そのホースは狭すぎて蛇口に全くはまらなかった。
次に俺はホームセンターに行った。父を連れて行けばなんとかなるだろうと思った。
父に「蛇口の直径何センチなん?」と訊かれ、「分からん」と答えると、父は何も買わずに家に帰った。
三度目の正直。ちゃんと蛇口のサイズを測り、もう一度ホームセンターに行って、俺は無事炊事場の蛇口に合うホースを手に入れた。
(実は内径と外径のサイズを見誤るというトラブルがあったのだが、そこはもう己の力でなんとかした)
ホースとは別に、俺は洗剤も間違ったものを購入していた。
食洗器には「粉末タイプかタブレットタイプをご利用ください」と書いてあったのに、液タイプを買ってしまっていたのだ。
それは母に押し付けて、タブレットタイプを購入しなおした。
そしてやっと、心置きなく食洗器を使えるようになったわけだが。
最高すぎる。
今まで、俺の洗い場は常にきたねえ皿で溢れかえっていた。
基本的に、皿を洗うのは一週間に一度。箸など頻繁に使うものは、水でシャシャッと洗って再利用だ。
普段使いのコップは何週間も洗わない。
きったね。
そんな俺が、食洗器を使うようになってから――
洗い場が常にピカピカになった。
箸やスプーンは常に清潔なものを使うようになったし、コップだって毎日替えるようになった。
食洗器を購入して人生が変わった、と言っても大げさではない。
そしてなにより。ここが一番大事まであるのだが。
家事を手伝ってくれるパートナーが家にいてくれることの幸福感を知った。
仕事を終え、疲れた体で帰宅する俺。
食洗器に皿を突っ込み、ぽちっとスタートボタンを押すだけで……
食洗器くんは俺の代わりに一生懸命お皿洗いをしてくれるのだ。
泣ける。
俺は食洗器を購入してから、口癖のようにこう言っている。
「俺が人生で一番買ってよかったもの。それは食洗器やでぇ」
ADHDの俺が買ってよかったもの @pospom
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