第5話 好きかも
(※陽川さん視点です)
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駅で陰山と別れたあと、あたしは悶々としながら電車に揺られていた。
今日は陰山にたくさん助けられた。
予行演習の準備に、あたしの悩み相談の相手。
しかもこれから一緒にネガティブ思考なところを直すことにも付き合ってくれるらしい。
ここまでしてくれると恐れ多いのだが、本人曰く『自分がやりたいから、お節介だと思っといて。』とのこと。中々直らなくて見捨てられたりしたらどうしよう。
これから人付き合いがもっと苦手になって、仕事にも就けなくて…って、だめだめ!この癖を治さないと。
そう思い駅から家まで歩いていたのだが、頭の中は陰山の優しい顔と言葉でいっぱいになっていた。
その時だけじゃない。晩御飯を食べてる時も、家族とテレビを見ている時も、お風呂に入っている時だって、他のことを考えていたはずなのにいつの間にか陰山のことを考え始めていた。
そのせいか、会話の返事が上の空になって、お母さんが体調が悪いのかと心配してくれた。
不気味というか不思議な気持ちだったので、電話で親友にこのことを打ち明けることにした。
「ひよ〜、相談乗って〜。」
『どうしたんだい親友。』
ひよこと小山ひよりはあたしの中学時代からの唯一の親友だ。
あたしの過去も本性も知っているから、結構相談に乗ってもらっている。
「前、私と陰山で実行委員になったじゃん?体育祭の。」
『そうだね。』
「それで───」『ストォップ!』「なに?」
『当てさせて!』「えぇー…いいけど。」
『よし!じゃあ…陰山のことを結構な頻度で考えるようになっちゃった、とか?』
「……」
図星すぎて言葉が出ない。流石あたしの親友だ。
『おっ、図星ですか。』「…はい。」
ひよは楽しげに声を弾ませながらまた図星なことを言う。
『そしてなぜそんなに考えてしまうのか不安でしょうがないと。』
「……脳みそ共有してたっけ?」
『あはは〜、まあ伊達に親友やってませんから!』
そう言って無い胸を誇らしげにグーで叩くひよの姿が想像できた。
『それね〜、恋ってやつだよ。』
「へっ?」
え、恋?いやいや、ないないない。
今日は色々あったからな。疲れて聞き間違えたのかものかも。
「ごめんもっかい言ってくれん?」
『何度でも言うよ〜、それ恋だよ。』
もう一度言われて顔がどんどん熱くなって言った。
『親友として嬉しいよ。ついに千奈津にも青い春が…』「いや、待って待って待って!なんでずっと考えるようになったら好きになった判定になんの?!」『だって普通どうでもいい人だったり嫌いな人のことは考えることないでしょ?』
言われて納得してしまった。
もうこうなったらひよにアドバイスを求めるしかない。
「あ、あの…どうやったら振り向いてもらえると思う?」
『やっぱガンガン押していくしかないでしょ。』
「だよねぇ…」
やっぱりそれしかないよね〜…
でも帰り際にちょっと怒っちゃったからなあ。
明日陰山と普通に話せるだろうか。
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久しぶりの投稿です。
間空いてしまってすみません!
学校があったりして忙しくて書けませんでした。
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