義理人情、ギリ人情?謎の女と音波杖【オンパー・ロッド】

結局宿は見つからず、野宿になりました。


俺はただ一人、旅道の脇で、焚き木をして、数時間前に使ったの出力調整をしていた…と、その時だった。


シュン!!


目の前を何かが横切り、薪の火が消える。

「ったく…誰だよ。せっかくつけた火だってのに」

俺は魔法で火をつけなおし、作業を再開する。


その瞬間!!俺の目の前に複数体の魔物が襲いかかってきたのだ。


ほぉ…か、それもスライムエッジ牙モチ。それでも、相手が悪かったな…


俺は牙を生やし、噛みついてくるスライムの攻撃をそばに置いてあった杖で受け止める。


「歯形は悪くない…売っぱらうにはもってこいだなぁ…!!」

俺は杖を思いっきり振り、スライムエッジをに弾き飛ばす。


スライムエッジ…遺伝子のバグで生まれてくるの一匹。通常のスライムよりも速度が速く、の牙を持っている。調子に乗って、コイツに食われた奴は、数が知れない。


だが…所詮は…対処法さえわかっていればどうって事ない。

それに、俺にはこの杖、いや…がいるからな…!!



俺は、中に浮いているスライムエッジに対し、の一撃を与える。


音波杖オンパー・ロッド!!超音壊音波ウルトラ・ノイズ!!!!」


俺の杖から放たれたそれは…宙を光線のように一直線に進み、対象物に当たると、した。俺に爆散したスライムの残骸が水のようにかかり、それを俺は、舌でキャッチするようにして舐める。


「ふむふむ…味は。こりゃあ相当人を溶かし込んでるなぁ…牙も落としてくれたし、感謝感謝」

俺はそう言い、スライムエッジが落とした牙を拾おうとした、しかしそれは瞬時に消え、突如現れたの手に渡った。



「おいおい…人が頑張って討伐したのを、取るって行為は立派は犯罪だぜ。ギデサルム令法にも書かれてるぞ」


「それを言うなら…私だってソイツとさっきまで戦っていた。ギデサルム令法によれば、報酬はに配分されなければならない。と書かれている…」

どこからともなく現れた、はボソボソとそう言った。


「ほぉ、随分と達者な口で言うねぇ」

と、俺が言葉を発したその刹那…

…黒服は俺めがけて短刀を振り下ろす!!


俺はそれを杖で受け止めた。

「まぁ…そんなガッつくなよ。おれは話し合いがしたいってだけなのによぉ…」


「……」


無反応か…少しお仕置きしてやる必要があるらしい。俺は小刀を受け止めたまま、杖からを放つ。


金属不調和音アイアン・ノイズ…」

この音波は金属の接触音から生まれる音波を、加工して更になのにしたやつだ。


案の定…黒服は音波に当たると、その場でしゃがむようにして、耳を塞いだまま動かなくなった。


「どうだぁァァ。近距離で喰らうこの音は、たまらねぇだろーー!!!?」

俺は黒服に対し聞こえるように、ニタニタと笑いながら叫ぶ。



…と、俺はその時杖から音を出すのをやめた。

黒女が耳を抑えずに倒れ込んだからだ。


「気絶したか。流石にこの俺も、まで奪うほど落ちぶれちゃいねぇからな」

近づいてみると、黒女は俺よりも小さな身なりをした…女の子だった。


「暗がりでフードをかぶっていたから分からんかったが、まさか女だったとはな…もうこれに懲りたら、二度とこんな真似するんじゃねぇぞ」

俺はそう言い残しその場を立ち去ろうとした。



「………」



はぁ…なんで俺は、こんなにもなのだろう。









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リペルソルジャー・ファースト マジッククリエイター【魔道具師】の危険信号 ファンラックス @fanracx

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