最終話 これからもずっと

「わたしもそろそろ帰りま――」

「待て」



わっ⁉

グイッと手をつかまれて、わたしはその勢いのままソファに座る。


驚く暇もなく、急に強く抱きしめられた。


「はー……マジで疲れた」

「そっ、蒼良さん……」


こ、これはもしかして甘えられてる……?

それがどうしようもなく嬉しくて、キュンと胸が高鳴る。


わたしは抱きしめられたのにこたえるよう、ギュッと手をまわした。


するとバクバクという音が聞こえてきて、わたしは目を見開いて少し体を離す。

これ、蒼良さんの音……? それともわたしの……?

蒼良さんも同じようにドキドキしてるのかな……そうだったらいいな、なって考えると、恥ずかしくて顔が真っ赤になる。


「顔赤い」

「そ、それは緊張して……そ、蒼良さんの前ではいつもこうです……!」

「……かわいい」


なぜか苦しそうに顔をしかめる蒼良さんに、わたしはあわてて顔を覗き込む。

じーっと彼の顔を見てみると、かすかに耳が赤く染まっていた。


「大丈夫ですか……?」

「……ああ」


だ、大丈夫ならいいんだけど。

疲れてるなら無理はしないで欲しい……。


と、思っているところで蒼良さんが唐突につぶやく。


「好きだ」

「わっ、わたしも……」


突然の告白に、ドキリとしながらうなずく。


「これからもずっと愛してる」


そっとつぶやかれた声は、とろけるほど熱く――甘い。


大好きな人から、大きすぎる愛をもらうわたしは、きっと世界一の幸せ者。

ずっと、この幸せが続きますように。


近づく顔に、わたしは彼の腕の中でそっと目を閉じた――。

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