Chapter5 動き始めた恋心
第20話 体育祭、スタートっ!
『さ~はじまりました! 第55回、体育祭! 去年と変わらず5つのチームに分かれての対決ですが、3年連続A組が優勝です! A組はさらに連勝記録をのばし、他の組はA組の連勝を押さえてくださいね~!』
6月中盤。
青い空が広がる中、ついに開幕!
体育祭~~っ!!
今年の種目はたくさんあって……。
たしか、選抜リレーと、綱引きと、借り物・借り人競争と、ダンス!
あと、騎馬戦もあるって言ってたような……?
その中でわたしが出る種目は綱引き。
純粋な力勝負だけど、だからこそ一致団結しないと勝てない!
おもしろいんだよね……!
今年の大目玉って言われている競技は、選抜リレーと借り人競争。
わたしもすっごく楽しみ……!
すると、後ろからドンッと誰かに抱きつかれてくるりと振り向く。
「玲音ちゃん!」
「乃彩ちゃ~ん! 見てっっ!」
ウキウキな様子でやってきた玲音ちゃんが、じゃーんという効果音が付きそうな勢いで差し出されたハチマキには……。
『敵チームだけど一緒に楽しもうね』と書かれていた。
「朔人様からもらえたあああっ!」
「え、よ、よかったね!」
すっごく嬉しそう……!
わたしもなんか嬉しくなっちゃうなあ……。
さっきからトップ4のみんなはファンクラブの人たちに囲まれてて、体育祭が始まる前からすごい大変そう……。
神楽さんは完全無視だし、葉桐さんは丁寧に断っている。
晴真くんも手を振るだけで、ハチマキへの書き込みとかは断ってるみたい。
じゃあ、ハチマキにコメント書いてあげてるのは朔人さんだけ!
なんというファンサービス精神……!
心の中でお疲れ様です、と頭を下げて体育祭のパンフレットを確認する。
最初の競技は……。
『まずは綱引きです。綱引きに参加される生徒は入場を開始してください‼』
綱引きってことはわたしたち……!
「玲音ちゃん、行こうっ!」
「うん! 楽しみ~っ!」
実は玲音ちゃんも綱引きに参加するんだ!
絶対勝つぞ~っ!
わたしはクラスの人たちと一緒に入場し始めた。
・・━━・・━━・・━━・・━━・・━━・・━━・・
結果は、4試合中まさかの全勝!
今のところポイント数は1位!
次は騎馬戦。わたしたちのクラスからは10人出場する。
勝って欲しいなぁ……。
騎馬戦ってやるのもきっと楽しいんだろうけど、見ていても白熱するから好きなんだよね!
玲音ちゃんと一緒に並んで座り、観戦をする。
「頑張れ~~~っ」
「A組行け――っ!」
「朔人様~~っ!」
玲音ちゃん、ちゃっかり朔人さんのこと応援してる……あはは。
朔人さんはC組だから敵……のはずなんだけど、やっぱり応援したいんだよね。
その気持ちも分かるけど……あはは。
それぞれのチーム席から応援が飛び交う中、勝利を制したのはC組。
朔人さんのクラス……!
2位がD組、3位がわたしたち、A組。
惜しいけど、やっぱり観戦するのも盛り上がる……!
そうして騎馬戦も終わり、次は……。
『続いては、借り人競争です! 選手の皆さんは入場してください』
わたしたちのクラスでは、神楽さんが参加するの。
本人はキョヒだったんだけど、みんなが神楽さんを推薦したから、結局参加することになったとか。
たしかに、神楽さんに借りられる人って誰なのか、すっごく気になるもん……!
あっ、その前に……。
わたしは最大限の勇気を振り絞って、入場していく神楽さんに向かって叫ぶ。
「神楽さん、頑張ってください……!」
聞こえたのかビミョーだけど……。
うう、ドキドキするうっ……。
そして、青春マックスな借り人競争がスタートしたのでした。
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