第3話 生徒会長のご指名です!?
そして、入学式になったんだけど、驚いたなぁ……。
だって!
入学式の代表挨拶の時に、さっき朔人さんと一緒にいた、神楽さんがいたんだもん!
「生徒会長推薦の神楽蒼良です」
やっぱり、この人が生徒会長なんだ……!
神楽さん……、この学園の名前に入ってるって思ってたし、学園長の息子なのかなぁ……?
「神楽さまかっこいい! 後光差してるよ~っ!」
「うんうん、制服にあってるなぁ……」
「この学校きてよかったぁ。マジでヤバいんだけど……!!」
あはは……イケメンすぎて騒がれてるなんてマンガだけの世界だと……。
確かにかっこいいもん。
騒がしくなるのは避けられない運命かも。
「では、次は学園長のお話です」
え?
え?
あいさつ短くない……?
『えー俺は勉学はもちろんですが――生徒会長としても自分なりに努めていきたいと思いますのでよろしくお願いします』
みたいな感じだったよ?
生徒会長って……何かわたしが思ってるのと違うのかも……。
と、思っているところに、学園長さんと思われる男性が壇上に上がり、挨拶が始まった。
「まずは皆さん、神楽学園にご入学おめでとうございます! 私は学園長の神楽と言います。今日は寮制度のことなどをお話しします」
うんうん、寮制度についてね。
わたしもそれ、詳しく知りたいんだよね……。
「まず、寮制度のことです。高校3年間はそこで暮らしてもらいます。で、寮の管理は自分でしてもらうように。今朝、鍵をかけていないと止められた生徒がいましたけど、そういうのも気をつけてくださいね」
ギクッ!
わたしのことですよね……。すみません、なんかごめんなさいぃっ。
心の中でペコペコしながらわたしは話に耳を傾ける。
「あとは、その
ふむふむ、なるほどね……。
管理室は1階っと。
「あ、そして生徒会特待生の特別寮は、『星乃館』の最上階になっています。3階以降に寮がある生徒はエレベーターをご利用ください」
エレベーターっ⁉
わたしは確か……5階……?
ということはエレベーターでの移動になるのか。
エレベーター、使ってよかったなら言ってほしかったよーっ!
荷物運ぶときとかは使わせてもらったけど、
わたし、今朝はダッシュで階段を下りてきたんだけど……あはは。
ん?
というか、生徒会、特待生……? って何だろう……?
と、わたしの中の疑問を読んだかのように学園長さんが「もうひとつ」とマイクに顔を近づけた。
「生徒会特待生っていうのは、学校側から『生徒会特待生推薦』をもらった生徒のことです」
生徒会……とくたいせい、すいせん??
漢字が多くて分からない……!
たぶん、生徒会のメンバーにいいと思う人を学園側が選んで……それに選ばれた人のこと、だよね?
うーん、と頭をかしげながらも何とか話についていく。
「その生徒が、こちらの人たちです。あ、生徒会メンバー出てきてくれるかな? せっかくだし、今日このタイミングで紹介しちゃうのもいいかなーって」
軽いノリであははと笑う学園長さんに、体育館のなかも「見たい!」「出てきてー!」と声が上がった。
すると、ドンッと音を立てて、ステージ袖からぞろぞろっと4人の男子が出てきた。
「「「「「きゃああああーっっ!」」」」」
「ご紹介にあずかりましたー、生徒会特待生の一人、会計担当の朔人と」
朔人さんっ⁉
朔人さんって、生徒会メンバーだったのっ⁉
会計担当……噓でしょ……。
「おれは
川澄、晴真さん……。
川澄、晴真……。
川澄……晴真……。
どこかで……そう、どこかで……。
ハッ。
「川澄くんっ⁉」
川澄くん、そうだよ、そうだよ!
中学の時、一緒だった――っ!!!
川澄くんもこの学園に来てたなんて……!
そして川澄くんも生徒会メンバー!
と、一人興奮しながら周りを見ると、ポカーンとした顔で見てくる女子たちの姿が。
「え、なに、くん呼びとか仲いいわけ?」
「あ、その~……」
やっちゃったぁっ……。
思わず叫んじゃったけど、川澄くんもイケメン。
そんなイケメンくんのことを、わたしなんかがくん呼びなんて、そりゃあ女子たちも怒るよね……。
ううう、と大反省モードに突入し、がっくり肩を下ろす。
「ご紹介預かりました、副会長の葉桐楓です」
「「「きゃあ――っ!」」」
自己紹介を終え、すっと礼儀正しく頭を下げた葉桐さんに、女子からは黄色い歓声があがる。
葉桐さん……!
みんなイケメンすぎるでしょ……!
エリートたちが集まってるからとはいえ、顔も完璧じゃなくたっていいのに……。
とにかく、周りはずっとライブ会場騒ぎ。
そりゃあイケメン勢ぞろいだもんね。しょうがない!
「生徒会長の神楽蒼良だ」
「「「きゃああああああっっ――っっ!!」」」
生徒会長、神楽さんの名前が出たとたんに体育館の中からは、今まで以上の大歓声がわいた。
「みんなー、これから生徒会メンバーをよろしくお願いします! ほら、蒼良も一言なんか言えよ」
「……」
「生徒会長としての威厳はどうしたんですか、まったく」
「挨拶くらい言った方が……」
神楽君のやる気のなさに、生徒会メンバーも苦笑している。
本当にあの人が生徒会長で大丈夫なのかなぁ……。
それでもやっぱりイケメン4人の会話は気になってじろじろステージを見てしまう。
と、ステージ上で、4人が何やら話しているようで集まっている。
何の話だろう?と思いながら見ていると、学園長さんも「ああ、それね」と言って話に加わった。
マイクがはいっていないから聞こえないけど、たまに「生徒会」とか「学力面では……」とか聞こえる。
生徒会関係の連絡か何かかな?
「あっ、みんな待たせたねー! えっと、一応生徒会の紹介は終わりなんだけどー、式が終わったら1年A組、朝比奈乃彩さんは至急生徒会室に集まってください、1年A組の朝比奈ちゃんねー」
「ええええっ!!??」
わたしっ⁉
まさかの生徒会命令に、体育館内もザワッとし始めた。
朝比奈乃彩って、同姓同名? いや、でも確か同じクラスにいなかった気が……。
ということは私のこと――っ⁉
人たちも、「朝比奈さん? どの子?」「生徒会室に呼ばれるって何の用事?」って騒いでる。
ホントだよ、わたしが聞きたいよ!
何の用事なんだろう……もしかして本当に怒られることしてたのかな。
謝るから許して―っ!
その後、学園長さんの指示で退場し始めたのだった。
わたし、どうなっちゃうの⁉
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます