その19
──異世界7日目 その2──
のっしのっしとファングベアのベンケイが歩き、その背中に乗ったシギは思ったより揺れない背中の乗り心地に驚き、しきりとベンケイを褒めるシギ。自然と互いの好感度は上がっていき……
グルル……
「どうしたベンケイ?」
突如として立ち止まるベンケイ。何度かウルフ系の群れなどは遠目に見掛けたけど襲っては来ず、寧ろ向こうから回避してた動きを見せていた……
「これは……ボアか」
ぐるぅっ……
肯定の反応だ。まだ距離はあるんだろうけど、こちらを見定めたかの様な……恐らく「獲物」として。つまり、狙われてると……
「はぁ、面倒だな……どの辺に居るかわかるか?」
流石にマップスキルさんでも気配を完全に隠されると何処に居るかはわからんらしい……ベンケイは匂いで気付いたらしいけど……
「風下は……こっちか」
ベンケイに質問したはいいが、矢張り言葉を喋らないからか意思疎通は難しい。大体の意思確認くらいは……はいとかいいえ、だな……出来るが。取り敢えず向けられた鼻先から大体の方向を確認。普通は匂いを気にして風下を陣取るのだが、そんな事は知ったこっちゃない……とばかりに風を気にせずに立ち位置を決める辺り、余程自分の力に自身が有るらしい……
「十里眼発動……あそこか。スキルカット」
以前切り取ったスキル群に加え、以下のスキルたちが対象のファングボアから切り取られる!
〈ファングボアから以下のスキルをカットしました〉
「
「精密位置把握スキル」
「マップ(中)スキル」
〈それ以外のスキルはダブリ、或いは人間では使用不可能な為、類似スキルの経験値として消費しました〉
一応解説すると、レベルがマックスのスキルでも上限突破出来る限りは経験値が貯まっていくものらしい……上位ランクでは必要とする経験値は相当多いらしいので、無駄とはならないそうだ。尤も、上位ランクのスキルを直接入手した場合は……言わずもながだが(苦笑)
◆◇◆
「来るぞ」
ぐるっ!
いきなりは動かずに暫くその場に留まっていたファングボア。だが、スキルが発動しないと分かると、地面を四肢で蹴り上げ……そのままダッシュして来る。
ドドドドド……
「……デカイな」
ぐるぅっ……
「やれるか?」
ぐあっ!
「そうか……じゃあ念の為」
幾つかの候補があるが、そう残された時間は無い。依って、
「テイムモンスター・バフ」
……と、テイマースキルを発動させる。これは口に出して、しかも傍に居ないと効果が無いのだが……今は背中に乗っているので問題は無い。
グルぅっ…!
ベンケイにバフが掛かり、僅かに光を帯びる。効果はランダムに各種パラメータが上昇って感じだが、いい感じに防御と攻撃のパラメータが上がった様だ。ステータス的には関連する複数のステータスが同時に上がるので、単体でステータスを上げるスキルより美味しいだろう。
(……ま、上昇幅は少ないけどな)
戦闘前の準備は時間が掛かると命取り出し、こんなもんかなとシギは前を睨んだ……猪の顔面が迫って……
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