その16

──異世界6日目 その1──


「お早う御座います……」


 昨晩は特に何事も無く、与えられた部屋で寝起きした訳だが……オリバーは別に部屋があったんだなと、今更ながら気付いた。


「おう、お早う!」


「ベンケイ有難うね! さっき朝ご飯を上げといた。今は朝の散歩に出掛けてるわ!」


 え……っと、どちらの形態でだ?……と思ってると、


「あーー……元の状態でよ。テイムした個体にはその証の装着が義務付けられてるからね! それを付けてれば少なくとも村の中では襲うアンポンタン(死語)は居ないわ!」


「あぁ、昔買った耳飾りか……」


 懐かしいの……とオリバーが呟いている。


「そっか……有難うな」


 シギが感謝すると、イリスは頬を赤く染めて


「いいの! ベンケイは共有財産みたいなモノだしね!」


 と照れていた。そこは2人の子供とかじゃないのか?……と思ったけど、藪蛇になりそうだったので黙っておいた(苦笑)


◆◇◆


 昼過ぎくらいにベンケイが戻って来た。俺は水を水瓶に補充したり昼飯の準備したりで忙しかったんだが……後、飯の準備前に浄化クリーンで家の掃除もしてたぞ!


「あら、ご飯獲って来たの? 偉いでちゅねぇーー!」


 いや、なぜ赤ちゃん言葉?……慣れないとキモいな……と思いつつ、獲物を見る。


「おお、これは……ホーンディアのオスか。首を一撃とは……やるな、ベンケイ!」


 イリスのお褒めの言葉よりは満足した様で、ベンケイは一声小さく吠え、俺からの浄化を待ってから寝床代りの居間の隅へとのっしのっしと歩き……静かに寝転んで寝始める。


「適度に運動したから疲れたんだろう……放っといてやれ」


 オリバーの言葉に2人は頷き、昼飯の準備に掛かるのだった……(シギがある程度進めてたけど)


◆◇◆


 午後ニくらいの頃……要は昼飯を終えて1時間程経過した頃合いだ。


「また奴らが現れたぞっ!」


「スキルテイカーの連中か!?」


「ゲンさん一家が攫われたってよ!」


「俺らが居るタイミングで来るたあな……目にもの見せてやるかっ!」


 ……と、何か殺気立ってるんだけど……大丈夫かなぁ?

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