その15

──異世界5日目 その3──


 取り敢えず、ベンケイはテイムした熊なので攻撃しないでと説得……


「なら芸の一つでもやって見せろ!」


 ……と言われたので、即興で何が出来るか考えた結果、野生のファングベアが出来なさそうな事なら良いんじゃない?……て事で、俺ら2人を背中に乗せて適当に走って貰った。無論、木を折ると色々困るだろうし避けて貰ったんだけど。背に人を乗せて走るより、木を避けて走る方でテイム認定されるとはね……世の中分からないもんだ。


◆◇◆


「テイマースキルのテストだあっ!?」


 オリバーはなんで熊をテイムして来たか質問したので、正直に答えると不平を漏らす。


「それでイリスを危険に晒したらどうすんだっ!?」


 それについては問題が無い筈だと答えるが……


「物事に絶対は無い!……以前から口を酸っぱくして言っているだろうが!?」


 うん、まぁ……確かにその通りだ。イリスさんに向けて言ってるんだと思うけど(俺は初めてだしな!)……と言う訳で、素直に謝っておいた。そしたら気味悪そうにしてたけど……(苦笑)


 取り敢えずそろそろ夕飯だ……先日の備蓄肉を少し貰って、ベンケイに与える。まぁ、食べに出掛けて貰っても良いらしいけど、最初くらいは主人らしく手ずから餌を与えてみたかったし……ね。


◆◇◆


 ベンケイに餌を与えた後、ヘルプをチェックしてみた。



【テイマーヘルプ】

◎テイムした対象の世話について

 テイマー次第ですが、基本はテイマー本人の魔力供給があれば餌を必要としません。供給する魔力はテイムした動物や魔物に依りますが、動物系ならそれ程多くはありません。テイムした数が多ければ別ですが、レベルに応じて上限があるのでそれ程気にする必要はありません

 逆に魔物をテイムしていた場合、レベルが低い時は多くても一体に留めた方が良いでしょう……扱い切れなかった場合、テイマーに危険が及ぶ事もあるからです……魔力を吸い尽くされてからでは遅過ぎる為、慎重に行動してください

 他、最初は簡単な挨拶程度でいいので十分なコミュニケーションを取るようにして下さい。彼らも生きているのです。道具の様な扱いをしていた場合、テイマーに待っているのは破滅・・の2文字でしょう……



「怖っ……」


 何か最後脅されてるんだけど……まぁ最初にテイムした子だし、可愛がるのは問題無い……問題無いのだが……


 気付けばイリスさんの寝室に連れ去られてて、そっ……と覗き見れば、何か小型ぬいぐるみ化してて抱き枕になってた……ベンケイさぁん!?

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