その13

──異世界5日目 その1──


 プロポーズ騒ぎは兎も角……いや、この世界じゃ18とか行き遅れてるらしいけど(聞いちゃ失礼かと思ってイリスさんに年齢は聞かないでいた)……うん、まぁ……姉さん女房も悪くないぞ?……って、他の村人に言われたんで、察してくれると助かる(苦笑)……あぁ、18は俺の歳な。


 んで、今日は色々極まった? 俺のスキルのテストだ……フォローでイリスさんも付いて来てくれている。未来の旦那を死なさないぞっ!……とか鼻息も荒いんだけど……打算?


◆◇◆


「先ずは何するかな……を」


 視線の先に山の主スキルに内包された千里眼の下位互換スキル、十里眼が反応する。一里は約4kmと言われている……つまり十里とは凡そ40kmとなる……余り視界も良くない山の中ならば、十分な距離だろう!(そもそも40kmの射程の弓なんぞ山の中じゃ不要だろうし?)


「熊だな……」


「熊?」


 視線の先に集中すると、再び山の主スキルが反応する……山の中限定のスキル……「山鑑定」が発動する!(厳密には関係性があれば山に居なくとも鑑定は可能だけど、山に関係無いと「不明」か「■□■のような物」としか返って来ない、割と頭が硬いスキル(笑))


「えっと……ファングベア、だね……レベルは3で、先日のボアと同じぐらいの体格みたいだ」


 勿論、体高とかは種族が違うけど、体重が同じくらいなら体積も似か寄るんじゃないかな?……とは思うけど。


「熊かぁ……熊ねぇ……」


 何だがお肉は暫く備蓄があるし……とかブツブツ呟いている。


「なら、テイムしてみてもいい?」


 と訊くと、


「……何て?」


 ってビックリしたような、何言ってんの?……とでも言うような顔で質問された。いや、アンタだって持ってるでしょうが!……と言おうと思ったんだけど。


(あ、そうか……レベル2じゃなぁ。少しは努力したけどって感じかな……)


 生活があるし、早々は遊ばせてくれないもんね……って判断。ホロ苦そうな過去の記憶はスルーし、試させてくれとだけ言って熊……ファングベアの元へと歩き出すのだった……


◆◇◆


「居た……」


 距離にして20mくらいだろうか? 風下を取ったのでバレてないと思うけど、彼女を連れてたらバレてたと思う。


(山の主スキル全開だもんなぁ……)


 身を隠す・気配を絶つ・体温すらも隠す「隠蔽」や、足音など空気の振動=あらゆる音を隠す「遮音結界」など……山での狩りに必要そうなスキルが同時発動していた。


(ま、狩るんじゃないんだけどね……)


 そして、目前まで……ある程度、距離を空けて接近した俺は。


「やぁ、こんにちわ!」


 と、挨拶をした直後に


「テイム!」


 と、ど直球にテイマースキルを放ったのだった……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る