その9
──異世界3日目 その1──
異世界転移してから3日目の朝が来た。3回目……いや、日を跨いだのは2回目か……またイリスさんに甘えてしまったが、他のお宅に勝手に入るのも憚れるし、何より空き家は無いことも無いが、とても人が住める様な状態ではないらしい……依って、現在村の留守を預かるイリスさん宅に厄介になるしかない訳だ。
コンコンコン……
「おーーい、起きてーー?」
ノックからのお早うコール……俺は急ぎベッドから跳ね起き、ドアを開けるが既に起こし主はそこに居ない……チョットだけシュンとなり、台所に向かう。
バシャバシャ……
木製の洗面器に予備の水瓶から水を移し、顔を洗う。いや、倉庫になってた部屋からイリスさんが持って来て、
「前のは古くなってたし気にしなくていいよ!」
って言ってくれたんだよね。今度はちゃんと小川の位置も教えて貰えたんで、きっちりと水汲みを終えられたけど……
ファングボア?……結局持ち帰る事は出来たんだけど、鳥やうさぎなどの小型の獲物しか捌いたことか無い……ってんで、現在獲物用の保存倉庫に使ってる空き家(ちゃんと鍵が閉まって、地下を掘っててやや冷暗所みたいな)に放り込んだよ……2人掛かりじゃなかったら無理だったかも……
◆◇◆
「ご馳走様でした」
「お粗末様」
妙な所が和テイストなんだよなと思いつつ、食器を片付ける。ちなみに、朝飯は黒パンに葉野菜に塩を微量振り掛けたサラダに果実汁を入れた水だ。絞りカスの果実も添えてあるが、食べろと言うより匂いを楽しむ……と言うより、素朴な食事の彩り添えかな?(食事は匂いでも楽しむって奴?)
(せめてバターとかあればなぁ……硬くて味気ないパンも美味しいだろうに……)
だが、牛乳……若しくは山羊乳すら出なかったので、無理そうだなと……
「……やっぱり、美味しくなかった?」
「え……あ、いや、その……」
「ごめんねぇ……食料は村を上げて買い出しと狩りに行ってるんだ……」
「な、ナルホド……」
恐らく、この村は基本……狩りで生計立ててるんだろう……で、一定数獲物(売れる状態の物)が溜まるか、生活必需品が不足したら買い出しに出て、ついでに帰りに狩りをするって感じかな?
「……よ、よくそれだけで分かるわね?」
と驚かれたけど普通じゃないかな?……これくらいの推測は……まぁいいか。
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