卒業式(麻也視点)

父さん達の離婚後、

俺達姉弟は‹‹仲直り››した。


喧嘩してたわけじゃないが姉さんには

かなり酷い態度をとってたから

面と向かって話すのが怖かった。


それでも、二人のが暮らしている

マンションで萌と父さん立ち会いの元、

内心ドキドキしながら姉さんと話しをした。


最初からわかっていたけど

姉さんは俺に対して怒っていなかった。


「麻也が謝らなくていいんだよ?

元は私とお母さんの問題だったのに

弟であるあなた達を

巻き込んでしまってごめんね」

逆に謝られた。


「姉さんは何も悪くない……」


そうだ、姉さんは何も悪くなかったのに、

小さい頃はともかく中高生になってまで

母さんの言いなりになっていたんだろう。


姉さんは何時だって

俺達のために尽くしてくれていたのに。


そして同時に父さんや萌とも

向き合ってなかったと気付いて愕然とした……


あれから一年、今日は俺の卒業だ。


保護者席には仕事を休めなかった

父さんの代わりに姉さんが来てくれた。


┈༝༚༝༚♡゙


「お姉ちゃん・お兄ちゃん、おかえり。


お兄ちゃん、高校卒業おめでとう」


二人が暮らすマンションに

帰ると萌が出迎えてくれた。


数時間後、父さんと恋人だという⦅男性⦆が来た。


仲直りの後、父さんの恋人が

(既に付き合ってたことに驚いたが)

⦅同性⦆だと知った時驚いたが

おのずと嫌悪感は湧かなかった。



『麻也、卒業おめでとう』


「ありがとう、父さん」


お祝いということで姉さんは

ご馳走を作ってくれた。


そういえば、昔から節目節目の

行事の度に姉さんはご馳走を

作ってくれていた気がする。


母さんの料理を最後に食べたのが

何時か思い出せないくらいだ。


「姉さん、ありがとう」


テーブルに並ぶ料理は俺達の好物ばかりだ……


「どういたしまして、たくさん食べてね」


俺は泣きそうになるのを

ぐっとこらえて食べ始めた。


これから沢山姉さん孝行をしていきたい。


新たな目標ができた。

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背徳を着こなす 華愁 @ichhigopanda0303

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