第2話小学生

ばあちゃんちに行く。

「とし坊、ラーメンを食べるね?」

「うん」


「もしもし、五十嵐さんですか?ラーメンを一つ」

と、ばあちゃんはいつもの様に五十嵐ラーメンに出前を電話で注文する。

五十嵐ラーメンは最高に美味い店。

幻の白い麻婆豆腐が出る時がある。

豆板醤や、調味料を入れずに間違えて出すのだ。

それは、店主が気付けば普通麻婆豆腐だが、最後まで気付かない時がある。


ラーメンが届く。

ラーメンのどんぶりにラップで包めて運ぶ。


昼にばあちゃんちで、ラーメンを食べるのは儀式みたいなもの。


12時からは、決まって、「笑っていいとも」。


母とばあちゃんは近況を話している。

夏休み、ばあちゃんちに2週間滞在した。


やりもしない、朝のラジオ体操をあたかもしたように、印鑑を押した。


ばあちゃんから、朝、牛乳をもらった。

瓶で、厚紙の蓋の牛乳の存在を初めて知ったは、4年生のとき。


僕はばあちゃんと畑に行ったりしていた。

葉物の野菜の場所で、ばあちゃんはカタツムリを潰していた。


僕はショックだった。カタツムリをばあちゃんは殺すと。


しかし、今思えば、カタツムリは葉っぱを食べる害虫なのだ。


牛のエサを機械で細かくする。

昔は指を切断する事故が多かった。

ばあちゃんは慣れていた。

 

ばあちゃんちの側の川で良く魚釣りをした。

鹿児島では、イダと呼ぶがウグイを良く釣っていた。


ウグイのウロコを取り、ハラワタをとり天ぷらにした。


しかし、水分を取り切れていないから、油がハネる。


ばあちゃんは笑って見ていた。


イダは小骨が多いが身は白身で美味しい。

夜、寝る時僕は夏休みエアコンの無い部屋で寝苦しかった。


ばあちゃんはラジオを聴きながら寝ていた。

AМだったが、童謡が流れていた。

その童謡に惹かれて、眠りにつく。


未だに、ラジオではないが、Youtubeを聴きながら寝ている。

漫才か、落語を聴きながら。


翌朝、ヤクルトを飲んで、牛乳を飲んで、朝早くから魚釣りに行く。


「とし坊、釣れたね?」

「うん。今日は8匹」


そんなやり取りをした小学生でした。

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