第3話 訳アリな2人

-side エドワード-



「あれ?あなたどこかで……?」

 


 目の前にいるオネーサン--赤い髪に青い目の美人さんが目を丸くして、キョトンとしている。

 あっ……!まっずーーーい!

 他国だから完全に油断していた。

 でも、おねーさんも訳ありみたいだから同罪だよね?



「シーーー!!ちょっと訳あってね?お姉さんもそうでしょう?」



 --コクコクコク!



 向こうもハッとした表情をして、頷く。

 あっぶねー。危うく強制帰国。

 下手したら、王子の不法入国で国同士のいざこざにまでなるかもしれないからね。

 いやまあ、こんなに警備がザルなトロール王国が悪いんだけれども。

 オネーサンも訳ありで良かったよ。

 とにかく、話題を変えよう。

 黙っててもお互い気まずいだけだし。

 訳アリが多い冒険者は深入りはしないのは基本だ。



「おねーさん、今日はこのダンジョンになんの用?」

「用?特に何もないです。強いているなら、日頃のストレス発散ですかね?」

「じゃあ、俺と似たり寄ったりだ」

「へえ……?その年で、中々に素質ありですね」

「え?ああ……、うん。敬語じゃなくていいよ、年下だし」

「そう?正体隠しているものね。助かるわ?」



 お姉さんはニヤリとこちらを見る。

 何のかなー!?と思ってゾクゾクしなくはないが、笑顔で黙っておく。ポーカーフェイスは得意なのだ。

 


「そういえば、俺の名前はエド。オネーサンは?」

「ああ、名乗るのが遅れて申し訳ないわね。あたしの名前はベッキーよ」



 ふーん……?これって偽名かなあ?

 俺もそうだから、人のこと言えないんだけどね。訳アリみたいだし鵜呑みにしない方が良さそう。

 多分、向こうは俺の正体に気づいている。

 うーん……、こっちはむこーの情報を知らないし形成は不利か。



--コソッ

「オネーサンってさ」

「なーに?」

「貴族?」

「な、なな、なぜそう思うの?と言うか、お互い詮索は無しって話だったんじゃない?」

「あはははっ!そーだったーー」



 ビンゴ。結構反応分かりやすいな。でも、王宮に出入りするような貴族だったらともかく、田舎で暮らしているような箱入り娘な貴族のご令嬢だったら普通なのかも?

 ダンジョン内に年頃の娘を出入りするのを許可押している貴族なんて相当な変人だもんね。トロール王国の文化?いや、多分この娘、言語に訛り方的にうちの国--ハワード王国の貴族な気がするんだよな。

 まあいっか。これで俺に対する弱みも半減したのも同然。



「オネーサンさ?俺と一緒に臨時パーティ組まない?」

「えっ!?面白そうだから良いけれど……、と言うか、あなたから言われて、拒否権なんて無いわよね?」

「まあ、それはそう。とりあえず、このダンジョン終わって冒険者ギルドで色々確認するまでは」

「デスヨネー」



 そんな感じで、オネーサンを捕まえてダンジョンの下層へ強制連行するのだった。

 ……別に嫌がってないから大丈夫だよね?



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