生活 生活 生活

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第1話

4/7(土)

 今日から日記をつけようと思う。僕は、僕の完璧な生活を、人生を、何かしらの形で残しておくべきだと気づいたのだ。僕が今まで、10年以上は貫いてきた超完璧な生活と、これからもそれが続けられるという事実を、確かにここに記していくことにしたのだ。

 ちょうど4月ということで、何かを始めるにはぴったりだ。こういう小さな偶然も、やはり僕の完璧な生活から来るものだろう。

 ここまで書いたらもう11時になってしまった。寝る時間だ。明日も会社に行かなければならないので今日は寝ることにする。この日記は毎日寝る前につけることにしよう。



4/8(日)

 今日はさっそく、今まで僕が続けてきた完璧な生活を記す。人は生きていくために絶対生活しなければならない。それなら僕はそれを完璧にすれば良いと思うのだ。これはきっと僕の完璧さの証になるだろう。


 まず、僕の一日は朝の星座占い番組を見ることから始まる。これで一日の運命が決まるので、抜かすことのできないとても大事な始まりの儀式みたいなものだ。

 そして、顔を洗い、朝ごはん。洗顔は3回、朝ごはんはパンと牛乳とチョコレートだ。これは健康のためである。そういえば今朝の牛乳は賞味期限が切れていたけれど、僕はきちんと飲みきった。このご時世、食品ロスは深刻な問題なのだ。賞味期限くらいでどうこう言っているやつは馬鹿だ。

 ここまで書いたらもう11時になってしまった。寝る時間だ。続きはまた明日書こう。



4/9(月)

 今日は星座占いが1位だった!おかげで会社に行く途中、10円玉を2枚も拾えた。さすが星座占い。僕はいつも下を向いて歩くことにしているので、そのせいもあるだろう。やはり僕は完璧だ。

 そうそう、昨日の続きの完璧な生活を書かなくては。前述の通り、僕は下を向いて会社に向かう。足元を見ないと危険は多いし、それに今日みたいなラッキーもある。完璧な生活には欠かせないことだ。

 そして会社。まあ昔は学校だったが。どちらにしてもこれはクソ。馬鹿ばっかり。皆頭悪過ぎ。この時間が僕の完璧な生活の中で唯一、一番無駄な時間だ。会社では僕はできるだけ息を潜めている。できるだけ誰とも喋らない。自分のレベルを下げて馬鹿の仲間入りなんてごめんだ。

 帰りもきちんと下を向いて歩き、途中でコンビニに寄る。ここで食料を買う。おにぎりは梅干し、食パンは6枚切りしか買わない。これは体に良いから。取るときは必ず手前から3つ目だ。コンビニというのはずるくて、賞味期限ギリギリのものを手前に置いてくる。これを知っている人は少ないだろう。みんなは騙されているようだが、僕は違う。レジでは、お釣りを毎回きちんと確認する。これも大事だ。

 そして、このアパートに帰ってくるのだ。僕の部屋は2階の一番端である。我ながら良い位置だ。書き忘れていたが、階段は奇数の日は一段とばしだ。少しでも運動をするのだ。

 晩ごはんは8時で、その後風呂に入る。風呂が先では気持ち悪い。そういえばこれも書き忘れていたが、食べ物は必ず30回以上噛むようにしている。健康に良いのだ。風呂はシャワーだけ。湯船に浸かるのは、お湯と金と時間の無駄だ。その後、歯を上下左右30回づつ磨く。それが終わったらすぐに布団に入り、カントやニーチェを読むのだ。この読書が僕の生活をつくっていると言っても過言ではない。いつも、少しでも理解出来るよう努力している。そして、最近はこの日記をつけてから寝る。

 ここまで書いたらもう11時になってしまった。寝る時間だ。明日も星座占いが1位になりますように。おやすみ。



4/10(火)

 今日も完璧な僕は完璧な生活をした。星座占いを見て(6位くらいだった)、牛乳とぱんとチョコレートを食べ、階段は一段とばしで、下を向いて通勤し、会社をやり過ごし、下を向いて帰ってきた。もちろんごはんを噛むのは30回、歯磨きも30回だ。

 今日はカントを4ページも読んだ。なかなか生産的な1日であった。これからもこの完璧な日々は続くだろう。



4/11(水)

 昨日と同じ。



4/12(木)

 今日は間違えて階段を一段飛ばしで降りてしまった。会社でそのことに気づきかなり慌てたが、特に何もなかった。こんなことで大丈夫だろうか。心配だ。明日の星座占いが気掛かりだ。ここまで書いて、気づいたら11時4分だった。早く寝よう。



4/13金

首を寝違えた。星座占い最下位、  チョコレートが切れてた。 階段を飛ばそうとして転んだ

寝違えたから下向けなかった。


会社の奴らが馬鹿のくせに僕を馬鹿にしてきて、言い返したら、部長に、怒られた、ほんとの馬鹿だ

謝れと言われたけど、首が痛くて上手くできるわけがないのに。

コンビニでおつりを数えようとしたら首が痛かったのでおつりを高く上げようとしたらお釣りが落ちた。 別にしょうがないのに店員も客も変な顔でこっちを見てた。馬鹿は首が痛いこと知らないくせに馬鹿だから。


ごはんまだ食べてないのに、おかしい

こんなおかしい こんな世界おかしい

僕は完璧なのに、世界が悪い


そうだ 馬鹿はいらない

僕の完璧な生活は邪魔させない

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