第八話
そこは不毛の土地
「時飛ばしは上手くいったようだな」
「全てが順調であります」
全身黒色で揃えたスーツにオールバックの黒髪、黒いサングラスをつけた中年の男が後ろに膝をつく黒色のローブをかぶったの何者かに問いかける。
「...今まで転生者はこのユニバースに計五人やってきたが、今回はそいつらとは全く違う存在だ」
「わかっておりますよ。私の身が有るのもマモン様のおかげですから」
「ははは、私に誓っても意味は無いだろう」
パアァァン!!
一瞬で黒ローブの上半分が消し飛んだ。
「誓うのならばこの“時期魔王”である私にしろクズが。マモンという名はもうしばらくで捨てられるからな」
そう言うと男は影のようにその場にすいこまれるように消えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
暗闇の中の壁を思い切り殴る。
〖視点-:ko3):チャンネル1@)?チャ27/「へ-----〗
《ブロックに失敗再度試行解読を続けます》
殴る。
〖視点-:)3):uuuチャンネル1@)?チャ27/「へ-----〗
《ブロックに失敗再度試行解読を続けます》
殴る。
〖視点変@「¥?&チャンネル1から@ch:!ネル2へ〗
《ブロックに失敗再度試行解読を続けます》
殴る。
徐々にレオの頭に何回も同じ機械的な音声が鳴り響く。
(なんだ?このうるさいのは)
殴る。
今までこんなこと無かったのにと疑問に思ったレオは頭を左右に振った。
殴る。
俺は5年前のあの時の美しすぎる少女の漆黒の瞳に吸い込まれた。
髪の毛はとても美しい水色だったのでとても不気味だった。
殴る。
(何故今になってこんなことを思い出しているんだ?)
レオは自分の頭の中にモヤを抱えながら赤髪の少女と対決する。
殴る。
「行きますよ!!」
長剣同士がぶつかり合い火花を散らす。
「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」
速すぎる攻防に観衆が盛り上がる。
殴る。
とても弱い、俺の相手では無いな。だが、なんだ?
徐々に俺の位置が後ろにズレて行った。
殴る。
レオは何をしてるんだ?
俺はもっと強い。何故こんなに反撃が通らないんだ?
殴る。
少女の口端がにやりと歪み眼が黒く染まって行く。
あの時と同じだ。
殴る。
黒すぎる眼にレオが吸い込まれレオが俺で無くなっていく。
殴る。
〖視点変更チャンネル1から2へ、三人称視点に切り替えます〗
«block»
殴る。
《解読共にブロックに成功“堕天者”のコードを破棄“超越者”のコードを再生成、堕天を阻止します》
レオの眉間に赤髪の少女が突き出した長剣の先端が突き刺さる
寸前に俺は魔素を放出し赤髪の少女を吹き飛ばした。
殴る。
《超越者のコードを生成完了、アップデートを開始します》
機械音声が鳴ったと同時にレオが頭を抱えてその場に倒れ込んだ。
(なんだこれはッ!?頭が痛い、痛すぎる!)
レオはもがき苦しんだ。
殴る。
《アップデート完了、ver.1,5になったことでユニバース8へのアクセス権を得ました、1時間後にユニバース9の時間が5年間巻き戻されます》
レオの身体から闇の魔力が吹き出し周囲500メートルほどを抉る。闘技場のスレスレを魔力の波が襲った。
殴る。
《視点変更チャンネル2から1へ、一人称視点に切り替えます》
闇の魔力が俺と周囲からパッと一瞬で無くなった。
眼に光が差し込む。
何年ぶりの光だろうか。
「ここは、どこだ?」
『失敗してるじゃないの“魔王様”』
闘技場の端で仰向けに倒れた少女から黒いモヤが立ち上がり徐々に形を成していく。
「なんで俺はこんなに背が高いんだ?」
「そうねえ、あれから5年もたっているものねえ、人間なら背が伸びててもおかしくはないわよねえ」
妖艶な女の声が誰も居なくなって荒れ果てた闘技場に響いた。
5年?
確かに俺は5年間の生活を見ていた。
ん?“見ていた”?
黒いモヤが骸骨のような形になっていく。
1.8メートルくらいの俺とほとんど同じ大きさの骸骨は、大きなローブを深く被って巨大な黒い杖を手にした。
「どうもぉ、魔豪ディアトロフィです」
魔豪?魔法の凄い使い手か?
「俺は長い間暗闇で1人だった、あれはお前の仕業か?」
「あれは“強欲”のマモン様がやった事よぉ、私じゃ不完全なものしか出来ないわぁ」
「あそこで唯一できたのは端にある壁を殴ることと、“俺”を遠くから見ることだけだった」
俺はあの水色の少女を助けた時から何者かに操られていたような気がする。
正確に言えば操られていたのを“見ていた”と言うべきか?
「そうねえ、大体あそこでああなたが過ごした時間は1000億年ねえ。あらぁ、丁度ユニバース8が出来てからの時間と同じじゃない?」
ユニバース8とは何だ?
ユニバースは日本語で宇宙だが、番号が振られている。
まさか多元宇宙とかか?
「今回であなたを暴走させる予定だったけど計画もボツになっちゃった事だし、さっさと後始末をしちゃいましょうかねぇ」
骸骨が黒い杖を掲げ巨大な黒色の円を創り出し、その中に複雑な図形を描き始めた。
「あなたの前世も結構手強かったし、あなたは選ばれているのかもしれないわねぇ?」
終始意味のわからないことを言っているがまあいい。
その“マモン”と言うやつを見つけ出して俺の1000億年分の苦しみを与えてやる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます