第七話
ドオオオオォォォォォォォォォォン!!!
炎と氷が吹き飛び、黒い粒子がそれらを吸い取って俺の手の元に集めてくる。
俺は氷の剣士の後ろから移動しドラゴンの真ん前に浮く。
「ぐッ」
「グオオオオ!?」
左手の人差し指をドラゴンの脳天に当てた。
キュイイイイィィィィィィィィィン
さっき集めた少なすぎる魔力を魔素に変換させる。
「気絶させて見逃すか試験管に入れて実験体にするか生かしてペットにするか考えたが全部無しだ」
指先に魔力回路を生み出した。掌くらいの極小サイズだ。
「死ね」
バキュ
黒色の指の太さほど細いビームがドラゴンの脳天を撃ち抜いた。
そして一瞬でビームがドラゴンの全長を超える太さになりあらゆる物質という物質を押し出し消し去った。
ドガアアアアアアアアァァァ!!!!!
押し出された空気が戻ってきて音が響く。
数秒で照射を止めるとドラゴンは跡形もなく消し去られていた。
「反吐が出る」
後ろを振り向くと女騎士が倒れ伏していた。
血がドクドクと流れ、地面が赤く染まっていく。
「かはっ、礼を言う、助けてくれてありがとう...」
俺にお礼の言葉を述べると女騎士のからだから青色の魔力が抜けていく。
「カレラっ!!??」
少女の声が更地となった森に響く。
女騎士の後ろの方からさっき受け止めた少女が駆け寄ってきた。
「どうしてこんな傷を!?まさか!!」
少女がこちらを向いて俺を思いっきり睨みつけた。
「許しません!!っまさかあのドラゴンはあなたが召喚したのですね!?」
「被害妄想がすぎるぞ」
俺はドラゴンよりも早くこっちに来て茂みに隠れて様子を伺っていた。
女騎士がドラゴンに攻撃されていたところはっきり見てたろお前。
まさか1回気絶した時に記憶飛んだとかか?
「私は戦います!光の祠で特級精霊とも契約したんですから!」
光の精霊と契約した帰りだったのか。
足がガクガク震えて今にも泣きそうな顔だが声は威勢がある。
「別にお前と戦っても俺に得られるものはないだろ、じゃあな」
俺は女騎士に時間経過で回復するように回路を組んだ微量の魔素を送って、その場から影のように消えた。
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〖視点変更:チャンネル01から02へ 、三人称視点に切りかえます〗
レオがドラゴンを殺し2人の女性を助けてけてから5年が経つ。
今でもレオは人類の域から度々離れ魔物を狩りまくって研究していた。
この大陸ではもはや彼の行ってないところはないと言っていいだろう。
皇国学院。
カザリス大陸の貴族や王族、平民までもが通う超巨大学である。
レオが侯爵家の家紋が描かれた豪華な馬車から降りる。
同時にレオにものすごい量の視線が集まった。
(だから来たくなかったんだよなあ)
レオがため息を着くと同時に2人の女性が降りてきた。
レオが手を握って2人とも丁寧にエスコートする。
白と黒、光と闇、日と影、それを表せる言葉は沢山ある。
学生らしからぬ体型に顔、全てが整っていて完璧と形容するにふさわしい容姿。
シロはレオの左腕にゆったりと抱きつきキリッとした目を和ませレオを見つめる。
クロはレオの右腕に勢いよく抱きつきそのタレ目を上目遣いにしてレオを見つめた。
大きすぎる丘が4つできて大変なことになっている。
「ご主人様なら絶対合格できますよ、さあ行きましょう」
「ご主人様ホテル泊まる時もまた一緒に寝よー」
周囲の目がさらに険しくなる。
「ああ、そうだな」
(やっぱ来るんじゃなかった裏金入学くらいさせろよあのクソ親父あと誤解生む発言は控えるんだクロ!)
レオが様々な思いをめぐらせ3人並んで歩いていると、突然名前も知らない少女が3人の前にたった。
赤色のロングヘアーで体はシロとクロには及ばずとも引けを取らないナイスバディだ。
少女がレオに話しかける。
「由緒正しき学園でこんなことをすることを恥ずかしく思わないのかしら?しかも試験当日から」
「めっちゃ恥ずかしいよでも慣れたじゃあな」
適当に流してレオは2人を連れて試験会場である教室へ向かう。
ちなみに全部顔パスである。
「ちょっ待ちなさい!!」
少女は3人を追いかけ横に並ぶ。
「あなたがどんな人間かは今まで耳が腐るほど噂で聞いてきたわ。あなたはここにいていい存在じゃない、大人しく帰って元のように引こもる事ねレオハルト・ノヴァ・シリウス」
「まず自分から名乗ったらどうだ」
「っ、いちいちうざったらしいわね、いいわよ名乗ってあげる。私はレイン公爵家長女レイナ・レインよ「今日の晩御飯何が食べたいですかご主人様」
「うーん、無難にハンバーグとか?毎日コース料理キツイだろ?」
「ちょっと私の話「私ステーキ食べたいー」
「クロはいっつもそれだな」
「私公爵家令嬢ですよ普通話すことも出来ませんよなんですかその態度「クロはしっかり野菜も食べなきゃおかわりあげませんよ?」
「わかってるってー」
ことごとく相手にされないレイナは顔を真っ赤にさせて喚く。
「いいでしょう!そこまで私を舐めるのなら公爵家を舐めているのと同じことでしょう実質!!
実技試験で決闘ですレオハルト!!!」
「嫌だ」
「っっっっくうぅぅぅぅぅぅうううう!!!!」
レイナが歯を噛み締め屈辱的な扱いにイラつく。
「話は聞かせてもらった!その決闘やろうじゃないか!」
横から大柄ないかにも体育教師と言った感じの男が割り込んできた。
「俺はガリレオ・ガガ、実技教科主に闘士科目を担当している!」
(色々混ぜてよくわかんなくなったミックスジュースみたいな名前だな。頭いいのか歌上手いのかどっちかにしろよ、今んとこどっちも無さそうだが)
教師ガリレオが胸を張って腰に手を置き語り始める。
「堕落侯爵家令息対天才公爵家令嬢の決闘だ!!誰もが気になるだろう。俺も見たい!!!」
「まあ、そんなに言うなら別にいいですよ」
(諦め悪そうだしなこのおじさんとこの少女、適当に負けて早く帰ろう)
「っ言質は取りましたからね!!!周りの皆さんも聞いてましたよね!!??絶対にボコボコのメタメタのグチャグチャの『キーンコーンカーンコーン』
(ふざけるな)
レオは先程の10倍重そうなため息をついた。
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ガヤガヤ
学院内が賑やかになる。
今はちょうど筆記試験が終わり実技試験に行くものたちが解き放たれる時間帯。
(楽勝すぎるな研究者舐めんなよ?)
レオはバカそうではあるが世界を救った英雄であり同時に研究者でもあるのだ。
頭の良さはピカイチである。
試験は筆記試験と実技試験、筆記は科目を選ぶなどは出来ないが実技は科目を選ぶことが出来る。
剣士なら剣士科、魔術士なら魔術士科というように己の獲物や特技で選ぶことができる。
「これから決闘かあ、勝手に剣士科目枠に入れられてたし自由すぎるだろ」
「ご主人様なら楽勝ですよ、知ってます♡」
「ご主人様の匂いと、すうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううう、200分もすうぅぅぅぅぅぅぅぅ、離れるなんて、すうぅぅぅぅううう「私も吸いたいです!!すうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅううう」
筆記は全教科凝縮させて200分で解かなければいけない。
難易度もとても高い。高すぎて受からない貴族はよく裏金入学やツテを使うが大抵最初の1週間で退学を言い渡される。
正真正銘選ばれたものしか入学できない学校なのだ。
クロとシロが綺麗すぎる顔をレオの胸に押し付け吸いまくる。
「...ここからは出場者以外、立ち入り禁止です」
学院は建物だけで東京ドーム10個分はある。
広すぎて移動にも転移魔術を使うほどだ。使える人は、だが。
「ああ、わかった。行ってくる」
「「いってらっしゃい♡」」
ホワホワした顔でふたりが送り出す。
レオはその顔をエネルギーに変え、頬を叩く。
(最初の一撃で綺麗に吹き飛ぶ、これが一番だ。絶対に成功させるぞ!)
顎に手を添えながら歩く。
相手や観客にとっては最悪な思考だが誰もそれを知るものはいない。
(どうせ筆記満点だろうから実技0でもギリギリ合格点を越えられる、はずだ!)
レオの名が呼ばれる。
彼は闘技場の中へ足を踏み入れた。
同時に歓声と喧騒が3:7位の割合で響く。
3はレオのイケメンすぎる容姿に落とされた女たちだ。
15歳になって身長も伸び、筋肉も発達して顔の堀が深くなったレオの姿はまさに完璧。容姿だけは。
反対側からレイナが出てくる。
レオの5倍はある歓声が上がり観客席が盛り上がった。
「あのクソ野郎をぶち飛ばせえ!!」
「ボコボコにしてやれえええ!!!」
「二度と立ち上がれないように全身の骨折れええ!!!」
多種多様な罵声が上がる。
血統の時は任意で会場を一般公開できる。
教師ガリレオが勝手に公開を申請していたのだった。
ちなみに今のは冒険者たちの声だ。
戦いが始まろうとしている。
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