第12話 封じられし闇の力と白い餅
評定後、昼食をとり午後はまた書斎で資料をまとめていると信長に資料をもって夕餉に来るように呼ばれた。
夕餉に指定された部屋へ行くと…お膳が2つ。上座の方にはお酒の用意もある。信長様とサシ飲みかぁ…。これはハードだ。
もう一方のお膳の前に座りしばし待つと、信長様がいらっしゃった。
信長様も席に着くと、会食が始まる。小姓たちが酒を注ぐ。自分の杯にも注ぐ…まだ俺、未成年なんだけど…この時代にそんなのないよね。うん、知ってた。
信長様の酒が飲めないなんて自体がある訳無いので…ぺろぺろ。うん、お酒だ。
「で、どうじゃ。織田家で働く決心はついたか?」
――ぶほっ。
いきなりか。
俺にせめてもの出来た事は噴いた酒を信長にかけないようにする事だった。
「え、っていうか昨日の今日ですか?」
「一日もあれば十分じゃろう。」
なんかイメージ通りではあるけど、せっかち過ぎやしませんかね。
「全然十分じゃないですけど、とりあえず寝て起きたら元の世界に戻っているという事も無かったので、どこかに身を寄せる必要がある事は確かで、その候補として織田家が第一希望なのも確かな事です。」
「なら、決まりじゃな。まぁ、身分的には評定でも述べたように客人でよい。それで良いな?」
「はい、釈然としない部分はありますが、ゆるーくお仕えしたいと思っております。」
「ははは、ゆるーくか。それでもよい。でだ、そちは何が出来る?何を織田家にもたらせる?」
え、何なの、この殿様。客人でよいとかゆるーくでよいとか言っておきながら、その舌の根の乾かぬうちにお前は役に立つのか?ってプレッシャーかけられてるんですけど。
「そうですね。自分の知識を整理しながら考えたんですけど、正直なところ思ったより役に立たなそうなんですよね。」
「ほう、なぜだ?わしはかなり有益に思えたのだが。」
「そうですね…有益か無益かであれば、有益である事は否定しませんが、割と使い勝手の悪い尖った性能といえる気がします。そうですね…後世ではこの時代のことをこう歌われたと言われています。
―――
―――*
―――座して食うわ
*豊臣秀吉の事
と。
ここで、一人目のほにゃららは、以前に述べた1590年に天下を統一した者、
二人目のほにゃららは、1603年に江戸に幕府を開いた者を指します。
ここで、名前をぼかすのは知ってしまうと信長様が意識してしまうかもしれないと思ってです。
まぁそこはいいとして、最初の織田がこねの織田は『戦国の風雲児』とも呼ばれた信長様の事です。
信長様は戦国の風雲児という名に相応しい信じられないほどの大飛躍を遂げ、天下統一まであと数歩というところまで勢力を拡大します。が、そこで道半ばにして斃れてしまうのです。
ええ、信長様は天下統一まであと数歩というところまでいけます。
私がいなくても…私の歴史の知識が無くともそこまでいけてしまうのです。
ですが、逆に最後の場面だけは歴史を知っている私は信長様のお力になれるかもしれない。
信長様の天下統一までの長い年月のほぼ全てであまり役に立てませんが、最期の局面…『第六天魔王』とも呼ばれたほどの信長様の力をもってしても越えられなかった山を越えることが出来る力添えをする事が、私には可能です。」
ふーっ、と一息ついて信長様をあらためて見る。
―――戦国の風雲児信長…なんかイイな。しかも第六天魔王信長だと…ククク
あれ?信長様…?
―――ふはははは、この幼き頃に封印されし右目がうずいてたまらん!
信長様が少し下を見ながらぶつぶつ何か言ってる…何かっていうか割とはっきりと聞こえるけど。かと思ったら、急に上を見上げながら右目を押さえている。えっと、あの、これは…。
「む!?コホン、なんじゃ。」
そういうとバツが悪そうに右目に当てていた手をおろした。
まぁ、信長様かなり若そうだし、そういうお年頃なのかな。
「えーっと、何の話をしてましたっけ。」
「黒い封印…ではなくて、白い…そう、餅じゃ。そなた餅の話をしていただろう」
えっ、信長様あんまり話聞いてなかったの?結構大事な話してたと思うんだけど。
とりあえず、割とどうでもいい雰囲気になりつつあったけど、もう一回説明したよ。
「戦国の風雲児」と「第六天魔王」の部分は削ってね。
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新作書き始めたので、以前なろうに掲載した作品を多少の改稿をして新作宣伝用に投稿します。本作は全19話で、全話投稿済です。よろしくお願いします。
↓新作です
何度倒してもタイムリープして強くなって舞い戻ってくる勇者怖い
https://kakuyomu.jp/works/16818093082646365696/episodes/16818093082647161644
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