第2話 謎のモンスターの正体
夕暮れの薄明かりが森の木を照らす頃、二人は獲物が発見された場所へ向けて進んでいた。山道を歩きながら、アセロンとルーカスは今回の狩りの計画について話していた。
「この辺りの獲物は厄介だから、慎重に行動しよう」とルーカスが言った。
「わかってる。今回の獲物は謎のモンスターだ。じっくり観察しながら進めていこう」とアセロンが応じる。彼の言葉には安心感が込められていた。
二人はしばらく歩き、森の奥深くへ進んでいった。森は静かで、風の音や肌触りが心地よかった。
そして謎のモンスターが発見された地点に到着した。そこには何かが引きずられた跡があり、二人はそれを辿っていった。
「ここまで大きな跡は見たことが無いぞ。それに長く続いている」とアセロンは不思議そうに言う。
「そうだな。ここまで跡が続いているなら、獲物が尻尾か何かを引きずっているのだろう」とルーカスが考察を述べる。
「でも、ここまで痕跡を残す生物なんて普通はあり得ない。新種の可能性も有り得る」とさらにルーカスが続けた。
二人は疑問を持ちながらも、痕跡を辿っていった。
森に冷たい風が吹くようになった頃、夜の闇に包まれた中で、彼らの呼吸だけが静かに耳に届く。
そして徐々に、彼らの呼吸音だけでなく、得体の知れない何かの足音と、何かを引きずる音が聞こえるようになってきた。
「気をつけろ、奴が目の前にいるぞ」
ルーカスが低く囁くと、アセロンは頷きながら視線を向けた。
そこには、目もふくらむほどの異形のモンスターが現れた。月明かりに照らされるその姿は、まるで暗闇から這い出てきた悪夢そのもののようだった。
複数の生物を無理矢理つなぎ合せたかのような不気味で巨大な姿は、その風貌ですら見合わないほどに巨大で長い尻尾をずるずると引きずりながら進んでいた。その全身は気持ち悪い光沢を放ち、すさまじい威圧感を漂わせている。
「・・・動くな」ルーカスがさらに低く囁く。アセロンはさらに身を縮めた。彼の心臓は緊張で速く脈打っており、そのモンスターが歩みを進めるたびに、彼の体も固くなっていく。目を細めモンスターの動きを逃さないように追っていた。
「どうする・・・?」とアセロンはかすれた声で訊ねた。
ルーカスはゆっくりと息を吐きながら答えた。「今は静観するしかない。奴の行動パターンを見て、隙を見つけるんだ」
彼らはほんのわずかな音も立てられない。しかし、獲物の動きを逃すまいと全神経を集中させた。
その時、モンスターが突然、その鋭い視線がアセロン達のいる方向へ向けられた。モンスターの目が光り、悪夢のような威圧感が襲ってくる。心臓が激しく脈打ち、その手には汗が冷たく汗ばんでいた。
異形のモンスターがゆっくりとこちらに向かって歩みを進めるたび、その地面を重く踏みしめる音が、その荒々しい息遣いが、アセロンの心臓を冷たく貫く。
「逃げ場はないぞ。やるしか無い」とルーカスは言うが、その声は緊張でかすれていた。
二人は武器を構え、暗闇に光る異様な眼光に、釘付けになる。
「いくぞ!」とアセロンが叫びながらその異形へ突撃していった。
アセロンはその怪力を生かして、モンスターへ巨大な剣の一撃を食らわせる。アセロンの一撃は意外にも、モンスターに深手を負わせることが出来た。そしてモンスターは威圧的な咆哮を上げながら反撃に出た。アセロンは剣で反撃を受けたが、その一撃は巨大な体躯に見合わない軽いものだった。そしてルーカスも剣を抜き、モンスターへ向けて走り出す。
そこからは長くは無かった。そのモンスターはその風貌に似合わず、とても弱く、二人は呆気にとられていた。
呆然としていた二人だったが、我に返って、お互いそのモンスターにおびえていたことに対して笑い合った。
「いくらなんでも弱すぎないか?」とアセロンは言った。
「まあ、何はともあれだ。このモンスターの死骸はギルドへ提出して、飯を食べに帰ろう!」とルーカスは返した。
そして二人は、絆がまた一段と深まったことを実感した。その後、すぐにモンスターの後処理を行おうとしたその時だった。
「あちゃ~、やっぱ駄目だったみたいだね~」と何者かが姿を現した。
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