リミット・オブ・ラストライン~終われない復讐~
むっちん
第1話 記念日の邂逅
ここは人間と異種が共存する世界。
そんな世界のとある村では、慰霊をする記念日「霊祭」が行われていた。
「何で死んじまったんだよ・・・ルーカス・・・」
青年アセロンは、故郷のルナレア村で亡くなった先人たちを慰霊していた。そんなアセロンの後頭部を何者かが殴った。
「痛ッ!!」という悲痛な叫びを上げた後、アセロンが後ろを振り返るとルーカスが立っていた。
「そんな冗談を言っていい日じゃないんだぞ。自重しろ。」
そうルーカスが言った。そして続けて言った。
「お前はもっと空気を読めるようになれ。」
「悪かったよ。でもよ、緊急の依頼が入ったんだから冗談の一つくらい言ってないとやってらんねぇだろ!」
アセロンは逆切れした。
アセロンとルーカスは、モンスターを狩ることを仕事としている”ハンター”という職に就いている。彼らは非常に腕が立つため、ギルドから直接依頼を頼まれることがある。ちなみに彼らのような凄腕のハンターは”フォルガー”と呼ばれる。
アセロンがぶち切れている理由は正しくそれ。折角の記念日に村へ帰ってきたのに依頼を頼まれたからだ。
肝心の依頼内容はというと、
”ルナレア村近辺で謎のモンスターが発見されたため調査・撃退せよ。”
というものだった。
逆切れするアセロンに腹を立てた者がこう言った。
「うっさいわね!ちゃんと休暇の申請しないアンタが悪いんでしょ!?」
彼女の名前はミラ。アセロンとは幼馴染みで同じハンターだ。19歳という若さにしてフォルガーと呼ばれるまでに至った天才である。しかし、身内に対しての態度は生意気そのもの。
「おめぇは俺と同じ地位に立っただけの年下なのに口出ししてんじゃねぇぞ!」
「はあぁぁぁ!?休暇の申請出し忘れてギャーギャー騒ぐ年上なんて敬う訳ないでしょ!?」
「コイツ・・・、大体何だその耳は?そんなにピアスを開けなきゃイキれねぇのかぁ~?」
「ぶっコロ――」
「やめないか!年上なのに情けないぞアセロン!それにミラもはしたないぞ!」
ここで二人の喧嘩を制止した彼はシリウス。彼も幼馴染みでありつつフォルガーだ。アセロンとは同い年であり、リーダー的存在である。
シリウスが続けてこう言う。
「ルーカスが休暇を返上してまで一緒に着いてきてくれるんだから、ワガママ言わないの」
「わーってるよ」
アセロンとルーカスは一緒に組んで活動しており、兄弟のような関係だ。ルーカスはアセロン一人では心配なため、休暇を返上して一緒に依頼を受けることになった。
「折角僕たちが揃ったことなんだしさ、楽しくやろうよ!」
そう言うのはレオ。もちろん彼も幼馴染みでありフォルガーだ。ミラと組んでいて、いつも彼女を制御している。
彼らはその後の儀式や催し物を通じて、この日を満喫したのも束の間。アセロンとルーカスは緊急の依頼へ向かうための準備をするのだった。
「この近辺で謎のモンスターが現れたということだが・・・、長くなりそうだな」
ルーカスが渋い顔をしながら言う。しかし、周りにある武器や道具は彼らの経験と熟練を物語っていた。
そしてアセロンが言う。
「大丈夫だ。俺達ならどんな獲物でも狩れるさ」彼の顔には、二人の信頼と友情が込められていた。
「そうだな。君とならどんな困難も乗り越えられる」二人の間には何よりも深い絆が感じられた。
準備が整い、二人は狩りに出る前に、家族や村人たちに別れを告げた。村の人々は、彼らの安全を祈りつつ、いつものように見送ってくれた。
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