第11.5話 雨の日

"キダロ"を発ってから3日後、空を見ると雲行きが怪しくなってきた。


「うーむ...」


浮かない顔のノキアを見るナナミ。


「どうしたんですか?ノキアさん。」


「ん?いや、一雨きそうな雲行きなんでな。どうしたものかと...」


「雨?」


ナナミはノキアと同じように空を見上げ尋ねる。


「ノキアさん、雨って何ですか?」

「雨も知らないのか?あー、記憶喪失なら仕方ねえか...雨って言うのは簡単に説明すると、水が空から降る現象だ。まあ、知らないならこの後知る事になるだろう。」

暫くすると雨が降り出す。


「ひゃー、降ってきたねぇ。」

シズが堪らず声をあげる。


「とりあえず、どこか雨を凌げる場所はないか?」

ノキアが呟くとナナミが何かを見つける。


「ノキアさん、シズさん。あの木はどうでしょうか?」

ナナミが見つけた木の下へと避難する。


完全に雨を凌げはしないが、それでも何も無い場所よりはマシだ。


「うわぁ、服がびしょびしょだ。」


「濡れちゃいましたね。」


「だな。」


・・・・

・・・

・・


「これが、"雨"...」


雨を知らない、もしくは覚えてないナナミにとって初めて体験した出来事。


それは懐かしいようで新鮮な感覚だった。


「雨が掛からない部分で火を焚くぞ。濡れた服を乾かさないと...ナナミ、お前も早くこっちに来い。」


火を囲み服を乾かし身体を温める。


ザァーっと聞こえる雨音を聞きながら、三人は雨が止むのをゆっくりと待つのであった。

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