第21話
"ジュギ"のギルドマスターがノキア達の元へと来る。
「・・・一体なにがあったの?」
ギルドマスターが尋ねるとノキアが説明をする為に近づいた。
「あー、あんたがここのギルドマスターか?」
「ええ、そうよ。」
「実は、アンタを呼んだ直後に
「なるほどね。状況を知らないこちらからすると"天災"が冒険者に危害を加えてるようにしか見えなかったわ。そういう背景があるのなら今回は大目に見るけど次からは気を付けてね。ギルド内での暴力行為はご法度だから。」
"ジュギ"のギルドマスターはノキア達に警告した。
「さて、べランの処分は後にして君たちの事はジャンヌ様から聞いているよ。紹介が遅れたわね、アタシは"アトリ"。ここのギルドマスターをしているの。早速だけど依頼について話してもいい?」
アトリは三人に尋ねた。
「ああ、構わないぞ。その為に来た"天災"様だ。」
ノキアは頷いた後、アトリに向かい言った。
「それじゃ、ついてきて。」
アトリは三人を連れて自室へと向かった。
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ギルドマスターの部屋
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アトリは来客用の椅子に三人を座らせ説明を始めた。
「ジャンヌ様から少し聞いたと思うけど、改めて詳細を説明します。1~2ヶ月前に"ジュギ"の南でダンジョンが発見されたの。自然に発生したというより、人為的に誰かが何かの目的で作った様な形のダンジョンよ。アタシたちはこのダンジョンを"アフトリ"と呼んでいるわ。今回ギルドが依頼するのは突如できた
アトリの話はジャンヌから聞いた話とほぼ同じだった。
だが、アトリは続けて説明をする。
「ここから新たに入った情報があるの。先遣隊が地下三階層に降りた時、そのうちの一人が遠目に見たと言っていたんだけど、人らしき者の姿を確認したそうよ。一瞬の事で見間違いと言う可能性もあるけどね。」
ナナミは話を聞いて声を上げる。
「大変じゃないですか!!早く助けないと!!」
「待って、ナナミちゃん。あのね、この話はそう単純な物じゃないと思うの。ナナミちゃんは知らないと思うけど、地下三階層に居る魔物はとても強いの。それこそ、ナナミちゃんの想像を超えるものがね。そんなものがうろつく場所に普通の人は絶対に居ない。つまりこれは...」
「...冒険者たちをおびき寄せる罠だな。」
ノキアとシズの見解は一致した。
「しかも、その魔物共を倒せるほどの力を持つ冒険者に的を絞った様な感じだな。」
ノキアはシズとナナミに意見を述べる。
「となると、罠だと把握した上で挑まないといけない訳ね。うーん...」
シズは苦い表情をしながらナナミを見た。
「ナナミちゃん...今回のダンジョン、アナタは連れて行けない。」
ナナミに向かいシズは言った。
ノキアも同意見のようにシズに頷く。
ノキアとシズの真剣な表情...そこから嫌でも察しが付く。
だが、ナナミは...
「ノキアさんとシズさんの言いたい事は分かります。それでも、何とかなりませんか?」
二人について行きたいという思いを伝えるが二人の反応は一向に変わらなかった。
「ごめんね、ナナミちゃん。今回のダンジョンは勝手が違うの。アナタを連れて行くと、私とノキアはとても深い後悔をすることになる気がするの。」
ノキアは一言だけナナミに告げた。
「悪いな。」
二人の言葉に俯くナナミ。
「...分かりました。今回は私は"
重い空気の中、話がまとまる。
「どうやら、決まったようね?なら、依頼を出すから準備が出来たら声を掛けて頂戴。」
アトリはノキアとシズに言った。
アトリとの話を終えた三人はギルドを出て宿へと戻る。
「じゃあ、準備をしてサッサと向かうぞ。ナナミ、お前はさっき言った通り留守番だ。宿も俺らが戻ってくるまでジャンヌが面倒を見てくれる。とりあえず、自由に羽を伸ばしてろ。じゃあな。」
ノキアはそう言うとシズと共に準備を整えダンジョンに向かった。
アースドランを使い2時間後、ノキアとシズはダンジョン=アフトリ=へと着いた。
「ここがアフトリか。」
ノキアとシズはダンジョンを見てジャンヌとアトリが言った言葉に納得する。
「これは、確かに人為的に造られた人工のダンジョンね。」
二人が見たダンジョンは建物のような外観をしていた。
中に入るとそこは外観からは想像できないほどの広い空間が広がっていた。
空がある。
地面には草花が生えており、風が吹き抜けていく。
「外観は一軒家ほどしかなかったのに中はこんなに広いなんて...随分とチグハグね。珍しい形だわ。」
遠くに人影がちらほらと見える。
警戒し近づいてみるとそれはギルドの派遣した先遣隊の人たちだった。
「あなた達、ギルドが派遣した人たちね?」
見たところボロボロで中には片腕や足がない者まで居た。
「ああ、ギルドの依頼で調査に来た"
「私はシズ。あまり言いたくないけど"天災"って言えばわかるわね?こっちは弟子のノキア。アナタたち、何があったの?」
シズは"
どうやら彼らは調査の為、地下3階層を調べまわっていたらしいが、そこで運悪く魔物に見つかり命からがら逃げて来たとのことだ。
「あれは、もうA級冒険者が5人程度じゃ対処できない次元だ。」
「分かったわ。あとは任せてちょうだい。」
シズが声を掛けると"
「さあ、行くよ!ノキア!」
シズの一声と共に二人は一気に3階層まで駆け抜けた。
地下三階層
地下1階、2階と階層を下る度に景色が一変していった。
砂漠の厳しい環境の1階層。
狭く入り組んでいる迷路のような場所の2階層。
そして、荒野のような荒れ果て岩山が剝き出しになっている3階層目へと辿り着く。
「ここが例の場所か...」
遠くあるいは近くから魔物の叫びが聞こえてくる。
「至る所から叫び声が聞こえてくる。」
ノキア達は警戒をしながら4階層を目指して慎重に歩みを進めた。
だが...
突然岩場の陰から巨大な衝撃が来た。
=
真横からきた衝撃をノキアは容易く防ぎきる。
崩れた岩場を見てみるとそこには、いつか見た領主の屋敷ほどの大きさをした魔物"サイクロプスオーガ"が潜んでいた。
ノキアとシズは距離と取り素早く戦闘態勢に入る。
「チィッ、流石にすんなりとは通れねえか!!やるぞ!!」
ノキアはシズに声を掛ける。
その一声を聞きノキアとシズは二手に分かれ"サイクロプスオーガ"の足元まで駆ける。
「ハッ!図体がデカい分動きはやはりトロイか!!」
ノキアは割符を割り"サイクロプスオーガ"の足へ投げつけた。
バランスが崩れ倒れそうな瞬間、もう片方の足をシズは思いきり殴った。
その衝撃は岩を粉々にする威力でソレを受けた"サイクロプスオーガ"は派手に後ろへと倒れるのだった。
轟音、そして衝撃波と共に地面が揺れる。
"サイクロプスオーガ"が倒れた隙に二人は身体を伝い頭部へと移動する。
そして...シズは急所であろう巨大な眼に岩を砕く一撃を入れた。
「グウォォォオオオオオオ!!」
大きく響き渡る声と共に"サイクロプスオーガ"は身体が崩れてい
った。
「出直せ!雑魚が!!」
ノキアは朽ちる魔物にそう呟いた。
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