第3話
ガチャ
扉が開く音がしたので、振り返る。
「エミリー?」
エミリーを呼ぶ。
「あぁ、本当に生きてたのね。リリィ。」
「………お母様。」
「…そうよ。」
部屋には、お母様が一人、入ってきた。でも、後からエミリーもきた。
「エミリー、ありがとう。でも、気はきかなかったわね。」
「えっと、お母様?」
「エミリー。私は言ったわよ。『もしかしたら、リリィは死んでしまうかもしれない』って。」
「っ!」
「もしかしたら、もしかするかしら? エミリー。」
「……っそんな!」
「あら、私は何も言ってないわよ?」
バン!
そう言って、お母様は帰って行った。
戸の音は、激しく波打つ。
「リリィ様。その……」
「いいよ。」
「え?」
「私が死ねばいいのでしょう? なら、殺しなさい。エミリー。」
「お嬢様⁉︎」
「私はいいから、早く。」
「………」
「いいのよ。全て知ってるから。」
「っまさか!?」
「ええ。知ってるもの。あなたの妹…エマのことも。」
「……………無理です。」
長い沈黙の後、彼女は言った。
「私には、妹の命がかかっていようと。あなたを殺すことはできません。」
「…そう。」
「……お嬢様? 何ですか、その魔法陣は。」
「あ、これ? 自滅の魔法陣よ。」
「じ、自滅?」
「ええ。」
「お嬢様、おやめください。私は大丈夫です。あなたが死ぬ必要はないのです!」
『あなたに、幸あらんことを。《Present for you,》この命を燃やし、かのものに捧げよ。』
「お嬢様!」
部屋は純白の光で満たされた。
のちには、ただ一人の遺体と幸運なメイドがそこには残されていた。
次の公開は、20PVです。
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