第9話 姫神(二)
いつか、さくらが
(さくら…と呼ぶか。私ではなく…あの
「
(それもある。…だが、あの娘は人の子であるそなたと共にありたいと望んだ。その望みそのものが、あの娘を苦しめた)
(人は人と結ばれる。座敷童という《童》のなれの
稔流はさくらが何ものでも
何度約束を
――――だから、何度でも自分の気持ちを伝える。
さくらの不安が、苦しみが無くなるまで、何度でも――――
「
(子が
(さくらも言うておったろう。まだ死んではならないと)
「俺は、
(……そなたは、
「それでもいい。神様にも妖怪にも、善も悪も無いってさくらが言っていました。俺がいくら
稔流は、姫神に逆らった。
「神様。さくらと会わせて下さい。俺はさくらに約束したから。いなくなったら、何度でも
(天の
稔流は、希望に胸が
会えるだけでいい。会えたなら、今度こそ伝えたいことがあるのだから。
(時に…我が
「え…?」
思わぬ問い
東京にいた時も
一方で、
そういうごちゃ
でも、稔流は
「神様を信じます」
(
「さくらが、小さい神様だから」
そうだ。さくらを信じなくて、何を信じる?
見ないでと、さくらは言い残して消えた。でも、さくらはきっと、心の中では稔流の名前を呼んでいる。
稔流から
(……そうか)
ふふ、と女神は風に
(私が
「…いいえ」
(私もまた、人の
「え…?」
神様が、人間だった…?
思わぬ言葉に
(
(だが……そなたが救うのは、あの娘だけなのだな。仏にはなれまい)
(それでも、この国は
(そなたは、仏ではなく、神となる――――)
女神の声が、遠くなる。
桜の花が、消えてゆく。
(会うがいい。
「――――!」
まるで、天から
でも、痛くはない。真っ先に目に入ったのは、
「稔流ちゃん……?」
「……。おばあちゃん…」
「ああ…!よかった…!稔流ちゃん…稔流ちゃん。本当によかった…!ありがとうございます…ありがとうございます、姫神様…!」
祖母は、稔流が
「……俺が死んでから、何日
祖母は、もう思い出したくないとばかりに首を
「
「…うん。ごめんね、おばあちゃん」
稔流はそう言ったが、
「俺が学校で
「……。
「…そう」
祖母の言いにくそうな
稔流が
「ふぅん…
「稔流ちゃん、まだ起き上がっちゃダメだよ」
「大丈夫」
(さくら…)
もう、自分でわかる。稔流の体の中には生命力が
さくらの
稔流の体から、喘息の
稔流は自分でナースコールを
稔流は言った。
「すみません。生き返ったので家に帰っていいですか?」
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