第10話 金色の少年(一)
当然、丸13日間の
そして、両親が村の
「
母が目を潤ませた。
「…お母さん。お父さん。久しぶりだね。1ヶ月半くらいかな」
稔流は、目を細めて微笑した。
両親共に、言葉に
「来ていいの?村にひとりしかいない医者と看護師が病院を放り出して。おばあちゃんとおじいちゃんが
「…………」
父も母も、言葉を探した。何から言えばいいのだろう?
両親共に、稔流が
心配はしていたけれども、
もう、両親を恋しがる
稔流が「自分の誕生日が書いてあるお墓なんて見たくない」と
産まれた時には
きっと、稔流が一時は心肺停止になり、意識不明のまま村の外の大病院に入院という大事件が起こらなければ、――――そして稔流が目覚めないままだったなら、次に
こんな事故に
「どうしたの?誕生日も
きつね色の目は、金色を
――――笑っているのに、笑っていない。この子は、こんな表情をする子だっただろうか?
この子は、本当に自分たちが育てた息子なのだろうか――――
「何か
――――だって、もうどうでもいいことだから。
とまでは、稔流は言わなかった。他意は無いのに
これが、さくらの言っていた
「お父さん、覚えてる?」
稔流の声に、父は我に返った。
「あ…、何かな?」
稔流は言った。
『誰も悪くなくても、悲しくて
父は、遠い
確か、稔流の7歳の誕生日の直前だった。稔流が
(どうして、みのりは死んだの?)
稔流は、自分とよく似た名前の『みのり』が
幼い息子の問いに、父は言葉を
稔流は、その時の父と全く同じ言葉を口にしたのだった。
当時の父の
「ちょっと
皆、そっと
「稔流、久しぶり」
「久しぶり。2週間しか
狭依は本当にホッとした表情で言った。
「…よかった。元気そうで」
「うん。元気だから
「え?早くね??」
「そうでもないよ。もう何ともないから。明日じゃなくて明後日なのは、ただの様子見だよ」
稔流は微笑した。
「
「やめとけ」
大彦が
「…
「うん…ごめんね。心配かけて」
「
「大彦君!バラさないでって言ったのに!」
「亮介君の
「ちょっとじゃねえだろ!狭依と亮介だけじゃねえよ。俺も終わってからじゃなくて、五十メートル走れって言った時に
「大彦君、だめだよ。稔流君を
亮介はこの場にいないけれども、いつも元気な大彦といつもにこやかな狭依が、友達を死なせる所だったという
「先生のこと、ゴリって言うのやめたの?」
「…………」
大彦は、狭依の方を見た。
「
狭依は、そんなのずるい、と可愛らしい顔の
ドアが閉まって、しばらくしてから大彦が言った。
「稔流、わざとだろ?」
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