第6話 一途(一)
そこは、白い世界だった。
自分は、いつから
自分は、何者なのだろう?
「…さくら」
ふと
自分の名前は、
その体に流れる血に
でも、転入先の学校の教師に目を付けられ、体育の時間に校庭で
「俺…死んじゃったのか…」
しくじった。本当に倒れてやろうかと思い、実際にそれを
稔流は、あの
二度と
(良くないぞ!)
(全然良くない!稔流は、自分ひとりが心を
「…そうだよ、さくら。大人を動かすのも社会を変えるのも、必ず『
しくじったが、稔流は自分が死んだことを
そんな場面は、生きてゆくほどにきっと何度でも訪れる。
そして、稔流は、何度でもさくらを
そう決めた。そう約束した。そう
「さくら!どこにいるの?さくら!」
どうしたら、さくらと結婚出来るのか。
稔流が知っている方法が、ひとつだけある。
(私の
(死ぬよ。さくらが幸せだって笑ってくれるのなら、いつでも)
死んで欲しい。
きっと、それはさくらの本心だった。
稔流に、人間の体と命を捨てて、『人間ではない何か』になって欲しい。
それはきっと、『存在しているが生きてはいない』というさくらに近いものなのだろう。
でも、さくらは稔流の人間としての人生を、大切に思ってくれた。まだ死んではいけない。生きて欲しいと言った。
「…っ、さくら!俺はもう、さくらだけでいいんだ!」
さくらは、どこにいるのだろう?
目が覚めたとき、さくらがいなくて
「さくら…!俺は、さくらがいないと寂しいんだ!会いたいんだ!!いつだって、さくらと一緒にいたいんだ!!」
きっと会える。
会えないなら、会えるまで
稔流にとってこの世界で、どこの世界でも、
両親にとって《みのり》が永遠でも
「さくら、待ってて、
「……その必要は無いよ」
稔流ははっとして振り返った。
いつの間に、こんな近くにいたのだろう?
「稔流だけが、私を
でも、さくらは泣きそうな顔で言った。
「私の
心を
「
「……いいんだよ。さくら、会いたかった。…会えてよかった」
稔流は、さくらを抱き
もう、理由はさくらに聞かなくてもわかる。
きっと、さくらも同じなのだろう。
さくらが
「稔流…、しんじゃ、ダメだ」
「え…?」
何を言っているのだろう?稔流は、もう死んだからこの不思議な世界にいるのではないのか?
「稔流は、まだ選べる。もう一度
なんて、
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