第5話 鬼神
止まらない
苦しみながら、
(あーあ。…
子供は、
(せっかく、友達になれたのにな…)
稔流が不登校に
担任がいびっても、
(失敗しちゃったなあ…。でも…もういいか…)
稔流は、周囲に「死んでしまったらどうしよう」と思われるくらいの
この村に来てから、発作はたったの一度だけだ。さくらに手を引かれて、重いランドセルを
あの時、稔流はさくらが
あれがなければ、村に来てから一度も発作を起こさずに
(ごめん…稔流)
(私と生きていて……もう少しだけ)
少し
さくらの声だ。いつ聞いた言葉なのだろう?
どうして、さくらが
わからない。わからないけれども…
(ごめん…さくら)
稔流は、
もう声は出ないから、心の中で。
(会いたかったって……会えたら言いたかったのに)
(本当は…さくらがいなくて、さびしかったんだ)
(さびしいから、そばにいてほしかったんだ)
(かっこわるくて、ごめん)
(一緒に、生きていけなくて…ごめん)
父が、遠くから稔流の名前を
それも、もうぼんやりとして、何も聞こえなくなる。
(でも…)
(俺は、やっと、さくらを
(
(俺は、おとなになれなかったけど)
(それでも、俺の花嫁さんになってくれる?さくら――――)
稔流の全身が、力を失った。
もう、咳は止まっていた。
もう、息をしていなかった。
弱々しい
その様子を、大彦に
こんな事になるとは思っていなかったと、頭の中は
「……殺したな」
立ち
だが、その声は
ゾクリとして、
真っ白な髪と人形のように整った
「稔流を…、殺したな」
「…ち、ちがう……」
郷里は、
この少女は、一体何だ?
本能で全身が
とにかく、あの化け物遠ざからなければ――――!
「ぐうっ!!」
急に何かが首に
「…ま、……」
まさか、本当に死ぬとは思わなかったのだ。
体が弱ければ、
喘息だの何だの、そんな事を理由にして
甘やかすから、弱いくせに
だから、正当な
なのに、弱いから勝手に死んだ。
「…うぐ、…う、ぅ……」
だが、息が
首に巻き付いた何かに引きずられ、郷里は転びそうになりながら、校庭の中央に
少女は、真っ白だった。
その少女は、真っ赤だった。
真っ赤な、血の色だった。
「稔流を…!私の稔流を、殺したな!?」
血の涙を流す少女が、
「
うぐ、と担任は
少女の力とは思えぬ
「わかるか!?これが、稔流が何回も何回も…もっと幼い頃から何回も、感じ続けていた苦しみだ!!」
ゴウ、と音が鳴った。
強い風が校庭の植木を
「どうして、お前が生きている!?稔流が死んだのに!!」
暗い空に、カッと
落雷したのは、校庭の
雷に打たれた木はメラメラと
「…ころしてやる」
だが、少女の
「ころしてやる…」
強い風に、少女の長い髪が
ぐぐ、と
骨張った大人の女の手だ。
「
赤い鬼が、呪っていた。
少女の小さく
……こんなものが、いる訳がない。
現実に、こんな化け物がいるはずが――――
バラバラと
「私の稔流を殺した罪…、お前の魂に
男の視界に入る空の全てを、黄金の
目も
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