第4章 鬼神と座敷童
第1話 座敷童の夢(一)
座敷童も
別に
座敷童は
それだけなのに、
そう…わからない。こんな夢は、夢だ。
夢でなければならない。
決して、過去の記憶などであってはならない。
夢は夢。現実ではない――――
――――なのに、
ある家で、
夫婦仲は良く、まだ赤ん坊が
もし男の子だったら『太郎』。夫が考えた。
女の子だったら『つばき』。妻が考えた。お産の予定は
お産は
数え十五で
長い長い苦しみの
小さく弱い赤ん坊は、
母親は、泣いて泣いて、
(私のせい)
(私が悪いのです)
(私の体が、
(上手に
(私が『つばき』という名を付けたから)
(きれいな花が、
若い夫は、初めての子を失った悲しみと共に、妻を
(------のせいではない)
(あの子は、短い間でも、俺達を幸せにしてくれた子だ)
(きっと、あの子の
(椿は、
(首から落ちるから
(気に
(子供はまた産めばいい)
泣いていた若い妻は、
しかし、姑の言葉は、姑なりの
子供は
夫と妻が生きていれば、子供はまた作ることが出来る。一度
妻は、もう泣くことはなくなった。
もう、子供など産みたくないと、小さく
それから、
ひとりの座敷童が、どこからともなく《
その座敷童は、数え五つばかりの
その童女の他にも、似たような
幼い者から数え十五の成人
毎日楽しく
自分が帰る場所がわからなかった『つばき』は、
ある子供が教えてくれた。自分たちは座敷童と呼ばれる妖怪で、
『つばき』は
(…
人間には聞こえない声が、『つばき』の
(
『つばき』は思い出した。座敷童に
自分が、人間の子供だった頃のことを。
その女性のお
生まれてからほんの短い時間だったけれども、その
でも、『つばき』の母が
母は『太郎』と呼んでいた。
『つばき』は小さな太郎と遊ぶようになった。太郎には『つばき』が見えていたから。
『つばき』がもし人間として生きていたなら、自分は太郎の姉で、太郎は自分の弟であることも
『つばき』は小さな弟を守ってあげようと思った。
座敷童たちは
名前の通りに、元気に育って立派に家を
そして、太郎が『つばき』と同じくらいの
母は
(…ああ、
(もういちど、この母のところに生まれて来てくれたのね)
(
つばきは、立ち
……どうして?
『つばき』は私の名前なのに。
私は、ここにいるのに。母様に見えなくても、太郎と一緒にずっとこの家にいたのに。
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