第12話 可愛い
「おとな!おとな!」
「こどもじゃない、おとな!」
「
「わるいおとな!」
「わるいの、ひっぱれ!」
「わるいの、しずめろ!」
「おい稔流。今のうちに
「えっ…あれっていいの?」
「ゴリ?ほっとけ。あいつ
大彦がずんずん出口に向って歩いてゆくので、稔流は本当にいいんだろうか…と思いつつも、
「心配するな。お
いつの間にか、稔流の後ろに来ていたさくらが言った。
「あの男は死なんよ。あいつにここで死なれると、この学校の子供がプールを
さくらの
「ああ、
泳げないから
さくらは男子
「
大彦は、
「あー、なっちゃん先生?稔流が
大彦は
「
大彦は通話を切って、スマホはまた荷物に
「……この学校って、スマホ持ってきていいの?」
「
「何かって…、いや、いいよ…」
スマホは稔流も持っているが、それは
「さっき言ってた、
「あれ?本人知らなかったのか。稔流が転校してきた時さ、
「分からなくていいよ……」
大彦が教室からランドセルその他を持って来てくれて、校門前には黒光りする大きな車が
「鳥海さんって、ベンツ好きなの?」
「じいちゃんが
という訳で、稔流は
浮き輪はちゃんと空気を
いつやり方を
(…着物は家に
今は、ポケットの中に
「置いてきた。学校に行ってから
家から水着で来たのか…プールの日に服の下に水着を
「稔流がこの
(ええ!?それはダメだよ!)
「
初めてだという事に、さくらは気付いていた。言われたことがないと気にしていたのだろうか?
じろりと
そして、
(水着は、
(…また、夏が来たら、着てくれる?)
「うん。稔流がそう言うなら、また着るよ」
「これ、
さくらが、シートベルトを
「えいっ!」
と
「わあああ!!」
やわらかい。とにかくやわらかい。
「どうしましたか?稔流
「えぇと…」
稔流は言った。
「坊ちゃんじゃなくて…ただの稔流でいいです……」
「それは
「稔流。私は可愛いのか?」
稔流は、走る車のタイヤの音できっとさくらにしか聞こえないだろうと思いながら、小さな声で返事をした。
「さくらは…
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