第11話 プールの妖怪(二)
@ティーちゃんの
白いワンピースの水着のさくらは、とても
プールを前にわくわくした
「何だ?私の頭に何か付いているのか?
そして、
「何でもないよ」という感じに首を横に
……
(か わ い い よ)
さくらはきょとんとしたが、ボッと耳まで真っ赤になった。
「
すんなりとした白い足がびゅんと
「稔流!ふざけるな!!」
「せんせーい、
「稔流、気を付けろよ」
コソリと言われた。
「お前、ゴリに目ぇ付けられてんぞ。
稔流も、それは気付いていた。理由もほぼ特定している。
転校初日に神隠しの話題を出され、事情を知らない担任から「行方不明になったのか?」と突っ込まれたので、稔流はこう答えた。
(先生。これは村の人だけの話です。《外》に帰る人は、知らない方がいいですよ)
稔流は「秘境の村の特殊事情なので気にしないで下さい」という意味で言っただけなのだが、このひと言が担任の地雷だったのだ。
大彦の
当然
……って大彦君、それ俺にばらした
そして、稔流は勉強が出来る。この学校では満点しか取ったことがない。それも担任は気に入らないようで、先日は職員室にわざわざ呼び出され、
「勉強が出来るからっていい気になるなよ?本家だか何だか知らないが、特別扱いはしないからな!」
…と特別な八つ当たりをされた。
稔流の成績が良いのは、東京の塾で既に6年生の基礎まで終えていたのだから当たり前だ。この村に来てからは、通信講座の課題もコツコツと続けている。
本当は、もうする必要の無い努力だ。稔流はさくらと共に在ることを決めたのだから。でも、さくらを選ぶ事を理由に、今までの努力を全て放り出すのは、自分らしくないと思ったから。
とにかく担任ガチャは大ハズレで、
実際、担任は
外の人云々は、やっちゃったなあ…思いつつ、でもあの時点ではあと半年で転任(たらい回しで2度目の
…と、ぼんやり考えている稔流の
その近くに、黒髪の男の子がいる。黒髪なら河童ではなく座敷童なのだろうか?と思って見ていると、目が合ったその子は
「稔流、久しぶり~!大きくなったね!」
「え…?」
久しぶりということは、以前に会ったことがあるのだ。大きくなったと言うのなら、その子は幼い稔流を知っている。
問い返すと
そして、稔流をビシッと指差して
「狐の子!」
やはり河童だ。人間で言うなら小学校低学年くらいの見かけだ。他の河童も口々に言う。
「だいじょうぶ、おれたちは稔流と
「稔流のともだちも遊ばない!」
「がっこうではこどもと遊ばない!」
「
「あのさ…、遊ぶって、水の中に人を
「しない!しないよ!」
稔流は
「知ってるよ。河童は《約束》は必ず守るんだよね」
「そうだよ!そうだよ!」
「おい、稔流。
大彦が言った。
「河童でも来てたりすんの?」
稔流は、とっさに笑顔を作って話題をすり
「座敷童だけじゃなくって、河童も来るって言われてるの?」
「そーそー。泳いでるのがクラスの人数よりも
どうやら
だが、
「稔流、
「冷えるとまずいんじゃないか?」
友達の言う通りだ。これ以上は
「せんせーい。稔流が
稔流が言うと
「は?まだ咳が出てないならさぼるな!ほら、
河童の手が水中からにゅっと
ドボオォン!と
「…っぷはっ!何だ?
またドブンと
「何だあれ」
「ふざけてるんじゃね?」
「いや、ガチで
「まじでプールの
「河童かよ!見える
誰も座っていなかったはずの
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