第3章 学校に来る座敷童
第1話 学校に行きたくない(一)
代わりに、寒い時期が長く雪深いので冬休みが長い。
「
「うん…。学校、行きたくない…めんどくさい……」
稔流は、
「今のところ、学校の
「田舎なんだから
とさくらは素っ気ないが、
「稔流はウッカリ
「…………」
さくらは稔流が学校に行くように
稔流は、
祖父母が時折様子を見に来るので、
持って来て
いっそ机ごと持って来て貰えばよかったと思ったが、そうすると稔流は本格的に曾祖母の家に
イコール、両親との別居だ。実は、あの墓参りの日から稔流は両親に会っていないので、居場所は同じ
曾祖母は今のところ何も言わずに稔流をこの家に置いてくれているが、稔流と両親の
心配をかけているのならば、稔流は新しい
「…って、そういうの、
両親は困ったり後悔したりはしただろうが、傷付いたのは稔流の方だ。なのに、
「何のことだ?」
さくらが不思議そうに問う。
稔流が天道村に引っ越してくることになった
――――さくらには、話してみたい。
ただ、聞いて欲しいと、稔流は思った。大人には、もう言っても何もかも遅くても。
「……俺はね、本当は東京を
父は天道村行きをひとりで決めてしまったし、母は稔流の希望によっては
(俺だけ
稔流が『高校と大学は好きな所を選ばせて』と言って事を
十年
先祖代々『
この村に高校が無い以上、稔流は満15歳で下宿住まいか独り暮らしをすることとなり、それがそのまま両親との別れの時になる…だなんて。
何も知らないまま、知らされないまま、稔流だけが自分の望みを
「良くないぞ」
と、さくらは言った。
「全然良くない!稔流は、自分ひとりが心を
「私は、稔流以外の全員に
すぐ真上からさくらのが稔流の顔が見下ろすので、真っ白な髪の毛がさらりと稔流の
「スイカでも食べるか?」
「もう歯を
自分だけ顔が真っ赤になるのが
「うん…。今は知ってるよ。俺が俺の心を殺したら、さくらが悲しくなるんだ。さくらは、俺のことを大切に思ってくれてるから」
「…当たり前だ」
ぷい、とさくらがそっぽを向いたので、稔流はクスリと笑った。
「さくらの言う通りだよ。当たり前だから、俺は
稔流がこの家に
明日は学校に行こう。勇気を出して。
そう、
天道小学校の児童達は、みな幼稚園・保育園時代からほぼ同じメンバーで、中学校も村に一つしかない。実質幼保小中一貫校というとんでもなく閉じられた世界に暮らしている。
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