第2話 神様と妖怪の村へ(二)
「ん?
「ううん、何も…」
こんな
でも、現実的な母に相談せずに、お人好しでどこかほわほわと
「
母の言葉が
※ 村八分:火事と
「元々、次の職場は
「田舎にも
うわあ、行きたくない。
田舎はたまに行くからよいのだ。
せいぜい年に一度か二度、
…そう、旅行で行くのは、楽しかったと、おぼろげに思い出した。
お祭りの日には、この村のどこにこんなに人がいたのだろうかと
(…あれ……?)
それは、
多くの家が長男、
だから父は遠い田舎に残してきた祖父母を
……ことを、
でも、
思えば、不自然なことに、母がこまめに
――――どうして、お父さんもお母さんも、村に行くのをやめてしまったんだろう?
きっと
それなのに、5年の空白を経て
父はともかく、母まで「村八分よりはかなりマシ」と
引っ掛かったからこそ、
「俺の中学受験はどうなるの?…小学校も、今の友達と一緒に卒業出来なくなるの?」
「…………」
父は、分かりやすく「今初めて気付きました」という顔をした。そして、正直に困り顔で言葉に詰まった。
稔流は、知っていた。父には悪気など全く無い。
父は善人だが、その目は家庭よりも外の世界に向いているのだ。大学時代に母と出会っていなかったら、今頃はアフリカの難民キャンプに居たかも知れないタイプだ。
もうすぐ小学5年生の一学期が終わるのに。卒業まで2年を切っているのに、友達と離れてなければならない。
医療不足の村の医師になるという新たな道が見えた時、父はただ忘れていた、そんなことは思い付きもしなかった、それだけなのだ。
そして、母も何かがおかしい。
本当に
学校にも、そういう家庭の子はちらほらいる。子供の
なのに、当然のように
――――お父さんとお母さんは、俺が知らない
「いいよ、別に。…引っ越しても。」
父が村の医者になれば、村の人々の為になるのは確実だし、稔流の
母は、
つまり、母が気にしている親の役目とは、大人の
両親、村人全てが満足する答えは、『
満足しない、本当はイヤだと思っている
――――だったら、俺だけ
「……
これで、引っ越しが決まった。とても、あっけなく。
――――どうして、今なら村に行ってもいいんだろう?
5年もの間、多分わざと、村から遠ざかっていたのに。
お父さんとお母さんは、一体何を
一体、何を怖がって、何から俺を守ろうとしていたんだろう――――?
「行けば分かるのかな…」
ひとつだけ、
天道村には、神様と
人間の、とても近くに。
すぐそこに。
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