第21話 ユウの帰還、森の安堵
ゴゴゴゴゴゴっ
アカガシの幹がわずかに震え、
緑が少しずつ蘇り、アカガシの幹に再び生命の色が宿るのを感じた。
「ユウ殿ーーーーー!見上げるっすーーーー!」
エノキさんの声だ!
ぼくは反射的に顔を上げた。
そこには、かつての荘厳さを取り戻しつつあるアカガシの姿があった。
枝がピンと伸び、青々とした葉が芽吹き始めた。
ああ、なんという強い生命力なんだ。
森の中に響く静かな風の音が、アカガシの痛みと苦しみが終わったことを告げるようだった。
赤い光の球がゆっくりと降りてきて、僕の前に静かに浮かんだ。
「小僧、よくぞ成し遂げた・・・な––––––」
そうとうダメージが深かったのだろう。
アカガシもまた、声をしぼり出しているようだった。
ああ、これで・・・ようやく終わった。
「アカガシのじっちゃん。これで元気になるn・・・」
あれ?脚の力が入らない。
僕は全ての緊張が解け、肩の力が抜けた。
ふらふらする。
うっ。
まずい。
––––––––––––。
頭から真っ逆さまに落ちる。
「ユウ!」
イロハモミジが手を広げると、
みるみるうちに、周囲の葉っぱが紅葉しながら肥大成長した。
バスっ
バスっ
パスっ
フカっ
それらの葉っぱに順に受け止められながら、なんとか大地に軟らかく帰ってくることができた。
ははは、イロハ先生、ナイスキャッチ・・・。
「ユウ!」「ユウ殿!」
2人が駆け寄ってきた。
「あぁ、終わったのか・・・」
ぼくは、仰向けになって、薄目を開いた。
アカガシの新しい緑の葉の隙間から、木漏れ日がさしてくる。
「はは、力がもう入らないや」
イロハモミジとエノキが安堵の笑みを浮かべながら、肩に手を置いた。
「ユウ、本当に…よくやったわね」
「おかえりっす、ユウ殿」
イロハモミジとエノキが優しく言った。
エノキも静かに頷いていた。
深呼吸をして、目を閉じると、心の中に暖かい光が広がっていくのを感じた。
これは・・・。
アカガシのじっちゃんの記憶?
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