第19話 赤き光の声に
チラ
チラ
チラ
ピーーーーン
目の前に赤く輝く小さな光の球が現れた。
「怪異か!?」「怪異!?」「怪異っすか!?」
3人は一同に身構えた。
その球は、ゆっくりと浮かび上がり、僕たちの目の高さで止まった。
「遅かったな。今度の杜人はずいぶんとノロマじゃな」
「なんだと」
「ユウ、ちょっと待って」
「その声は、まさか・・・あぁ、まさか、そんなお姿になられてしまったっすか」
「我が名はアカガシ。小僧、名を申せ」
「は、やっぱり、大精霊アカガシ様でございますか!!」
イロハモミジは、その場にひざまづき、エノキもそれに続いた。
「こら、ユウ殿!頭が高いっす!」
「あんだよ。まったく。大精霊っていうからとんでもないじっちゃんが出てくると思えば、姿は見せないし、急に失礼なことを言うし」
「いいから、早く!」
イロハ先生が、ぼくの手をつかんで引っ張る。
やれやれだ。
ぼくも、2人にならい、ひざまづいた、しぶしぶ。
「もう一度問う。小僧、汝の名を申せ」
その声は、静かでありながらも圧倒的な力を持っていた。
僕は少し緊張しながら、自分の名前を名乗った。
「・・・ユウです」
アカガシは僕をじっと見つめているように感じられた。
そして、その声が再び響いた。
「ユウよ。我を登り、この異変の原因を突き止めよ」
アカガシが僕を試そうとしていることは明白だった。
「ぉい!ぃきなりなんだっていうんだよ」
アカガシの圧倒的迫力に気圧されながらも、
相手につけこまれるようなスキを見せてはならない。
「ぼくが、アンタを登るってこと?」
「あぁ、そうだ、ユウよ。何度も言わせるでない。原因を突き止めれば、これまでの無礼を許そう」
「おいおい、おかしいだろ。無礼はどっちだ」
「ユウ殿。自分からもお頼み申すっす。本来、この鎮守の森は、時空を超えた場所にあるっす。だから、怪異もまた立ち入ることが難しい場所にあるっす。なのに、この異変は明らかにおかしいっす。どこかに、怪異の入り込む隙間か何かがあると思うっす」
「ユウ。大精霊アカガシ様は、この森を拓いた最初の樹木であらせられます。
私たちも一緒にいきたいところなのだけど。大精霊アカガシ様にはだいぶお疲れの色がうかがえます。私たちも一緒に行けば、大精霊アカガシ様に多大なるご負担をおかけしてしまいます。森の声を聞くことのできるユウなら、あるいは・・・大精霊アカガシ様のためにも、ユウひとりで登ってくるしかありません」
「おいおいおい、ぼくだって疲れてるっての。それに一人ってまじかよ!」
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