第25話
本当に主様は何考えてるんスかね?
ジブンがこんなに我慢してるのに、その我慢を無駄にしようとするのやめてほしいっス。
ジブンがなんで主様の体液じゃなくて、ホイップクリームと魔石で我慢してるかわかってないんスか?
いや、ホイップクリームは好きだから良いんスけど。
ジブンだって本当は主様の体液がほしいんスよ。
主様に作ってもらった存在だからか、ジブンは主様の体液が飲みたくてしょうがないんス。
エネルギー効率が良いらしいっスけど、はっきり言ってそれは理屈付け程度にしか思えないっスね。
ただただ主様にむしゃぶりつきたいっス。
まあ、本人には絶対に言わないっスけど。
あの人、口では言わないけど女の子あんまり得意じゃないみたいっスからね。
その内慣れてくれたら頼んでみるっスよ。
キスでいいっスから。それ以上はまだ早いっすよね?
ジブン、本当は最初主様にあんまり好かれてないと思ってたっス。
主様がイメージした魂と大分違ったみたいなんスよね。
氷のような性格をイメージしたらしいっスけど、自分はどっちかっていうと火みたいな性格らしいっスから。
まあ、主様によると、ですけど。
でも、主様的には別にどっちでも良かったみたいっス。
目線は、いっつもおっぱいの方向いてるっスからね。
触ってくれても良いんスけど、ジブンは独占欲が強いので、触るなら最低でも1週間はジブン専用になってほしいっス。
主様は、好きな女の子居るっぽいっスから、無理は言えないっス。
サロメさんと仲いいみたいっスね。
ジブンと付き合いは数日しか違わないらしいのが悔しいっスけど、どうせ人間はすぐ寿命で死んじゃうのでから我慢っスよ。
主様は、もうジブンが稼いだ経験値?とかいうのが半分ほど送られてるらしいんで、人間の寿命からは完全に逸脱してるはずっス。
本人は気がついてないみたいっスけど、ジブンたちみたいな眷属は、そう言う事のために生み出されるんスよ?
だから、主様がどんなにサロメさんの事が好きでも、死ぬまで待ってればジブンの番が回ってくるんスよね。
なんて考えてるのがばれたら、主様に嫌われるっスかねぇ。
でも仕方ないじゃないスか。
ジブン、他に何もないっスから。
それに、主様がこの体を作った時に氷がどうこう言ってたせいで、こんな冷たい考えをするようになったのかもしれないので、これは主様が悪いんスよ?
大体、いつも夜にこっそり頭撫でる程度で我慢してたのに、ジブンが見えない所で大怪我して、寝込んで、やっと起きたと思ったら、
「ナナセだけは俺を見捨てないでくれるんだな!」
とか言ってくるの勘弁してほしいっス。
襲いかかろうかと思ったっス。
そういうストレスを家の裏手の森に集まってた魔獣とかを殲滅して発散してたんスけど、アレなんの集まりだったんスかね?
たまに人間も混ざってて、偉そうなこと言ってたので、主様に迷惑かかる前に潰して燃やしておいたんスけど、未だになんの騒ぎにもなってないので、人間の社会でもどうでもいい奴だったんスかねぇ。
主様は、ジブンが稼いだお金だけで養われるの嫌みたいなんすけど、ジブン的に主様を養いたいっス。
なんなら主様が赤ちゃんだったらって考える事もあるっス。
クリームを哺乳瓶みたいに飲ませるの楽しかったっス。
本人は不満だった見たいスけど。
今日帰ったら、主様がイヤリングをくれたっス。マケニアの瞳ってアレっすよね?お前は俺の物だ!他の男は手を出すなよ!ってメッセージを込めて男の人が女の人に贈る奴って冒険者ギルドで聞いたっス。
というか、ジブンはもう100個くらい贈られてるんすけど、全部返してるんスよね。
主様は、マケニアの瞳がなんなのかイマイチわかってないみたいっスけど。
これ、イレーヌとサロメが適当に説明して無理やり買わせたっぽいっスね。
それが分かってても、嬉しいじゃないっスか!
何なんスかほんと!?
思わずキスしちゃったっス!
これどうしてくれるんスか!?
とりあえず、主様が気絶しちゃったので、そのまま部屋まで送り届けて、自分も一緒に寝るっス。
サロメさんが色々言ってたっスけど、今日だけは我儘押し通そうと初めて反論して無理やり寝るっス。
寝てる時も、このイヤリングはもう外さないっス。
本当の意味を知ったら、どう思うんスかね。
勘違いなんて言わせないっスから。
「……んん……ん?」
日付が変わったあたりで、主様が起きちゃったっス。
ジブン、睡眠が必要ない体なんで、ずっと寝顔を見てたんスけど、ちょっと残念っスね。
「まだ夜っすよ。寝てていいっス。」
「ナナセか?ビックリした。」
「……さっき、無理やりキスして悪かったっスね。」
「……あー、あれやっぱり夢じゃなかったのか。」
夢にされたらたまらないっス。
ジブンの初めてなんすから。
「男の人からプレゼント貰うの初めてなんで、ちょっと興奮しちゃったっス。」
「マジか。」
マジっすよ。今までの隠す努力がパーっス。
まだ生まれてからの数日だけっスけど。
「……そうだ。ナナセには特別にもう一つプレゼントあるんだよ。」
「そうなんすか?」
「最近頼りっぱなしだったからな。そのお礼だ。」
そう言って、ボロボロの箪笥の上に置いてある奇麗な箱を持ってくる主様。
なんでこの人、こんなにボロボロの家に住んでるんスかね?
神粘土とかいうので家つくっちゃえばいいのに。
「はいこれ。魔法のチョーカーだってさ。女性へのプレゼントにおすすめらしいぞ。」
「……はぁ?」
これも冒険者ギルドに行った時に何人かから渡されてすぐ突き返した奴っすね。
確か意味合い的には、「お前は俺の物」っていう、マケニアの瞳と変わらない類の物だったはずっス。
この国の人たちちょっと独占欲強すぎなんスよ。
女性の方もこの手の物を贈られるのが嬉しいらしいっス。
まあ、重婚や愛人が普通に認められる国だからこそ、自分だけを好いてほしいって思うのかもしれないっスけども。
まあ、主様はこれもどういう意味かよくわかってないっぽいスけど。
もう知らないっス。
着けちゃうっスよ?
いいんスね?
はい!もう着けたっス!返さないし外さないっスから!
私は貴方の物ですって認めるアクセサリーを2個も贈る人は、一生重い女に愛されてればいいんスよ。
寿命、あと何千年あるのか知らないっスけど。
アフロディーテ様並みになってるんじゃないっスかね。
もっとのばしてやるっス。
何もわかってないのに、似合ってるとか言わないでほしいっス……。
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