第24話
1時間ほどして、母親に支えられながらエリンが部屋から出てきた。
「いやいやいや!教えてくれればそっち行くから大丈夫ですよ!娘さんフラフラでしょ!?」
「そうはいきません!何が何だかわかりませんが、仮にアナタが命を代償に助けてくれる悪魔だとしても私は喜んで全てを捧げる程に感謝しているのです!」
なんて押し問答の結果、とりあえずエリンを俺がイスまで抱き上げて連れて行って落ち着いた。
何度も言うが善意の行動だ。
「改めて自己紹介をしておきますね。俺は、ダロス・ピュグマリオンと申します。」
「エリンの母の、エクレアと申します。」
おいしそうな名前ですね?
「実はですね、最初にこれを言ってしまうと恐らく怪しさ満載で家に家に入れて頂けないと思ったので詳しく話さなかったのですが、俺が買った家にあった娘さんの忘れ物というのがですね、娘さんの魂だったんですよ。生霊ってやつですね。」
「……え?」
人生でここまで危ない宗教みたいな話をしたのは初めてだ。
俺は、とりあえず今日の出来事を掻い摘んで話す。
「……そんなことになっていたんですね……。」
「まあ、信じがたい事でしょうが事実です。」
「いえ、貴方の言う事ならば信じましょう。現に、娘がこうして元気にしているのですから。それ以上に重要な事実などありません。」
「お母さん……。」
うんうん。
いい具合に感謝ゲージが溜まっているぞ。
これは交渉がしやすそうだ。
「ところでですね、実は折り入ってお願いがあるんです。」
「……はい。私たちも、貴方への恩に報いれるのであればなんでも致しましょう。」
「ごめんねお母さん……。でも、私大丈夫だから。生きてればきっといいことがあるって、今日ちゃんと思えたから!」
「ああ……エリン……!」
一呼吸置くたびに親子で抱き合ってるな。
なんかこれから要求突きつけるのいたたまれなくなってきた。
「では……。俺が新しく買った家で働いてくださいませんか?」
「お母さん!」
「「「「「「え!?」」」」」」
「え?」
「娘じゃなくて、私……ですか?」
「いや娘さんもその内勧誘したいですけど、長期間寝込んでたんですからすぐには厳しいでしょ?」
肉体的には、ほぼ完璧に治した自信があるけれど、筋力が落ちてないとしても案外影響は残るものだ。
特に、動かし方って言うのは案外忘れてしまう。
大学の冬休みに痛風を発症して、1週間動けなかったときは、その後元の通り歩き方を思い出すまでに2週間かかったのを思い出す。
アレは辛かった。
痛風って風が吹くだけで痛いなんていうけど、風が吹かなくても痛い。
骨と骨の隙間に釘を打ち込み続けられてるような感じだ。
しかも、炎症で高熱まで出てきてしまう。
学生向けマンションで帰省していないのが俺だけだったせいで、誰も助けに来てくれなかった。
世界に俺しかいないんじゃないかという絶望感すら感じたよ。
あれ?今関係ないな?
「ダロス様、エリンさんを愛人にという事ではなかったのですか?」
「いや突然何言いだすんですかイレーヌさん?」
「だって、そんなに胸元に目が行ってるじゃないですか?」
「い、行ってませんが?」
「あのっ、私は……その、見られてもいいです……よ?」
「いやダメだろ。ここは許可しちゃダメだ。じゃないと我慢できない。」
大分誤解があるようだから、詳しく説明しておくか。
「まずだな、俺たち家族には決定的に足りないものがある。それは何でしょうか!はいサロメさん!」
「え!?その……赤ちゃん……ですね……?」
「…………そうだね。」
「答え言っちゃうと、料理ができる人です。」
「そちらですか。」
「現に、俺が倒れて動けない間、食卓はどうなりましたか?」
「クリームとお肉でしたね。」
俺なんてずっとナナセに絞り器でミルクを飲ませるがごとくホイップ吸わされてたぞ。
何かに目覚めそうだった。
「だから、もう一人くらいは料理ができる人が必要だ。できれば、家事専門でやってくれる人員だな。サロメは、掃除に関しては問題ないけれど、料理は難しいだろうし。」
「ダロス様!私もこれから練習しますよ!」
「イレーヌはさ、何となく貴族らしく家事出来ないキャラでいてくれた方が俺が興奮するかな。」
「……そう、ですか?それならまあ仕方ありませんが…!」
貴族の娘さんに家事させるのちょっとアレなんで、そう言う事で押し通そう。
「それにさ、エリンのやりたい仕事ってベビーシッターだろ?うちの場合さ、ベビーは……その……まだしばらく……だし?」
「私はいつでも構いませんよ?」
「私もです……。」
イレーヌさんは構ってください。貴族令嬢なんですから。
2人きりの時と違って宣言する時に顔を赤くする以外の照れも出してるサロメも可愛いよ。
「というわけで、まず俺たちが勧誘すべきはエクレアさんだと考えました。この家を見る限り、外も中もかなりしっかり整理がされていて、調理器具もしっかりと丁寧に使い込まれてるのが分かります。うちの場合掃除はサロメがワンオペ状態なので、調理も含めて空いた時間にそちらも手伝ってくれる方なら尚いい。」
ここまでが表向き、というか良い面の説明。
「それとですね、ここからはあまり大っぴらには言えないんですけど、エリンさんとエクレアさんには、今日見聞きしたことの口止めをしておかないといけないんですよ。」
「え?私たちは恩人の秘密を言いふらすようなことなど……!」
「俺はね、そんな耳聞こえのいい言葉をそう簡単に信じされる程お人よしじゃないんですよ。」
皆の雰囲気が変わる。
そうだ、ここからは汚い交渉なんだ。
「……わかりました。私たち親子は、貴方の家に閉じ込められた状態で仕事をしたらいいという事ですか?」
「え?住み込み希望って事ですか?」
「え?」
あれ?なんか違う?
「いやいや、つまりですね、俺としては、エクレアさんにはお給料いっぱい出すんで、その待遇が無くなってしまうような真似をしたくならないようにしようかなって思ってるわけです。」
「お給料を……?」
「そもそもなんですけど、うちの家族は結構秘密だらけなんですよ。だから、あんまり不特定多数の人間を受け入れたくないんで、折角ここに口止め必要な人がいるなら、最初からその人を雇っちゃった方がいいかなって。」
「はぁ……。私としては、それで構いませんが、娘を助けていただいた上にお給料まで貰ってしまってもよろしいのでしょうか?」
「何があっても無給で仕事させるのはダメでしょ。」
そんなブラック許さんぞ。
この世界でも週休2日を実現したい。
いや、もしかしたらもっと休みがあるかもしれんが、少なくとも俺は寝込んだ日以外動き回ってる。
「わかりました。是非、ダロス様のお家で働かせてください。」
「よかった!まだ引っ越しの日取りとか決まってないんで、後日改めて伺いますね。じゃあ、これ支度金です。」
「支度金?そのようなものまで……え!?金貨がこんなに!?」
こんなにって、50枚だぞ?伯爵家だと使用人はこの位最高でもらえるらしいし。
「口止め料も兼ねてますからね。リハビリ中の娘さんと2人でも何不自由ない程度にはお金渡さないとダメでしょう?」
「……ありがとうございます……!」
「エリンも、ちゃんと動けるようになったら、また改めて勧誘しに来るからな。子供はまだまだ時間かかるだろうけど、それまで他の仕事でもいいなら用意するから、考えておいてくれ。」
「はい!はい!」
なんて感じで、今日の所はお暇してきたわけだが。
今は、とりあえず商店が立ち並ぶエリアのカフェで休憩している。
因みに、この世界でもこういう店はカップルに人気があるらしく、周りの半分くらいはそんなんだ。
あとは女性だけだったり、執事か何かみたいな紳士が自然な感じで紅茶を飲んでいる。
かっこいい。俺もああなりたいものだ。
多分俺一人だけなら、どっちかって言うと向かいの酒場で昼間からゲハゲハ酒飲んでるオッサンたちに近い存在だろう。
美少女が追加されるだけで大分ましになるのが分かるな。
にしても、あのカップルで使ってるハート形のストローなんて、どうやってこの世界で製造してるんだろう。
サロメ、チラチラ見るんじゃありません。
恥ずかしいからあんなもん注文しないぞ。
2人きりの時しか。
「ダロス様は、かなり年上の方でもいけたんですね?」
「雇用関係という事であればそうだけど、多分違う意味で言われてると思うので否定しておきます。」
どうしよう。
イレーヌから俺への信用がガタ落ちになってる気がする。
そんなにおっぱいにばっかり目が行ってるように見えてるんだろうか。
何かで機嫌をとらなければ……。
「そうだ!家をかなり安く買うことができたし、折角だからこのまま何か買い物に行かないか?アクセサリーとかさ。」
「アクセサリー……、アクセサリーですか!?」
「え、おう。」
イレーヌの食いつきやばい。
「少々お待ちください!サロメさんちょっとこちらへ!」
「はい!?」
イレーヌがサロメを引っ張っていって内緒話してる。
ガラテアは、また俺の服の裾に掴まってるだけの存在になってる。
「……今日の主様、すごかったね。」
「だろう?もっと褒められるべきだと思うんだ。」
「……あんなに傷だらけなら、死なせてあげた方がいいんじゃないかって思ったけど、体も全部治せるなんて思わなかった。」
「体を作る事に関しては、アフロディーテ印のボディのためにデータを頭に叩き込まれたからな。」
「……そっか、私だね。」
「そうそう、てかそれ以外にも、今日エリンを助けられたのは殆どガラテアのおかげだぞ?」
「……そう?」
「エリンが一連の騒動の原因だって言うのも、生霊だって言うのも、まだ助けられるって言うのも、全部ガラテアが教えてくれたことだしな。今日のMVPはそっちだろ。少なくとも俺はそう思う。」
「……じゃあ、今回は役に立てたんだ。」
今回はってなんだ?
「ガラテアはいっつも役に立ってるだろ?」
「……そんなことない。前はサロメを助けられなかったし、それ以外は結界張ってるだけだし。」
「サロメのアレはしょうがないだろ。神様の肝入りの奴だったんだろ?まあその神様に見捨てられるくらいダメなやつだったらしいけどさ。それに、結界張り続けるのって結構大変なんだろ?十分助かってるけどな。」
なんでこんなに卑屈になってるのかと思ってたら、あのクソ王子の件をまだ引っ張ってたのか。
気にするなって伝えたはずだったんだけどな。
まあいいけどさ。
「もしまだ自分を卑下するような事いうなら、恥ずかしくなるくらい褒めまくるからな?覚悟して自虐しろよ?」
「……じゃあ、2人きりの時にいうね?」
ガラテアが、ニヤニヤしながらそんな事を言う。
やっぱりお前はそっちの方が似合ってる気がするよ。
暫くすると、イレーヌとサロメが戻ってきた。
何か悪だくみでもしていたんだろうか?
誰が何を貰うか話し合ってたとか?
「お待たせしました。では行きましょう。」
「行き先わかるのか?俺は良く知らないんだけど。」
「はい。馴染みの宝石商の店なのですが、過去に数回店舗まで行ったことがあります。」
そういや貴族は商人呼び出して買い物するんだったな。
前世でも金持ちの奥様方の中にはデパートから店員呼びつけて買い物するって人もいると聞いたけど、俺とは住む世界違うなーって思った覚えがある。
ホントに違う世界に住んでるけどな今。
イレーヌに腕を組まれながら連れていかれた先は、シックな装いの落ち着いた店だった。
宝石関係の店って、俺のイメージだと金キラ金のゲバゲバって感じだったんだけど、さっきのカフェより更に落ち着いてる。
これが格式高い商店って事なのか?
ダロスの知識にこんなものはない。
俺の知識だと司会がわけわかんない事言ってる婆さんの話をスルーしながら、バイヤーの意向を無視して値下げしてる演技をしてる商売だし。
「これはこれはイレーヌ様。本日はわざわざご足労頂きありがとうございます。本日は何をお探しですか?」
店に入ってすぐ、これまたシックな服装の女性が声をかけてくる。
突然の訪問のはずなのにイレーヌの名前が分かってるのがすごい。
出来るなコイツ!
「ええ。今日は、『マケニアの瞳』を彼にプレゼントしてもらいに来たの。」
「……なる程。では、何セットご用意すればよろしいでしょうか?」
店員さんが俺に尋ねてくる。
イレーヌによるとこの国では、奇麗な女性には問題が起こりやすいので魔除けとして、男性から自分の瞳の色の宝石を使ったイヤリングを贈る習慣があるんだとか。
どこでもつけて行けるように実用性重視なので、普通のアクセサリーには使われない安い宝石が使われるんだとか。
傷が入ってたり、加工した残りだったりというとなると宝石といえど二束三文なんだとか。
それをありがたがらせて売るんだから、バレンタインチョコ並みにマーケティングの勝利だな。
「そうだな……、イレーヌにサロメ、ナナセにガラテア、ディとフレイにも必要か。」
「6人も!?……承知しました。」
営業スマイルだった店員さんが一瞬素の表情になる。
なんだ?あかんか?
「……主様、私は魔除け必要ないから、別のものが良い。」
「ん?そうか?まあ女神ボディならそんなもんか。何が良いんだ?」
「……できれば指輪。」
「わかった。」
ガラテアも案外こういうの興味あるんだな。
「じゃあ、マケニアの瞳を5セットと、指輪を見せてほしい。」
「かしこまりました。」
店員さんが奥に引っ込んでいった。
どうやら、マケニアの瞳は奥の職人に今から作らせるらしい。
それとは別に、指輪の在庫を大量に持って戻ってきた。
幾つかガラテアに勧めてるけど、中々気に入らないらしい。
「……主様はどれがいいと思う?」
「えー?指輪なんてよくわかんねーよ……。」
実はアクセサリーの類をじぶんでつけるのはあんまり得意じゃない。
煩わしく感じてしまう。
腕時計なんかも苦手だ。
つまり、彼女もいなかった俺に知識は無い。
「まあ、この中から選ぶならこれかな?」
「……わかった。これにする。」
「早いな。」
適当になんたらの瞳理論で赤い宝石付きの指輪を選んだらまさかの即決。
さっきまでの悩み具合は何だったのか。
何故か後ろでイレーヌとサロメがぐぬぬってる。
カフェの辺りから情緒不安定か?
「お待たせしました。」
店員さんがそう言って小箱をいくつか黒光りする板の上にのせて戻ってくる。
つるつるで滑りそうだけど、これ乗せて運ぶのがオシャレなんだろう。
知らんけど……。
一つ開けてみると、中には確かにシンプルな造りで、赤い宝石がちりばめられたイヤリングが入っていた。
魔除けって事だし、早速つけてもらった方が良いな。
「イレーヌ、つけるからこっちきて。」
「え!?あ、はい!あの……優しくお願いします……。」
優しくないつけ方があるのか?
イヤリングなんて扱うのが初めてなので、多少手間取りはしたけれど、無事着ける事が出来た。
イレーヌの耳がすごいスピードで赤くなっていくので、こっちもなんだか恥ずかしかったが。
「サロメも。」
「はい……。」
こっちも赤くなる。
宝石よりよっぽど赤いんじゃないか?
「残りは、このまま持ち帰るよ。」
「でしたら、ラッピング用の袋に入れておきますね。」
「おー、こういう所初めてですけど、流石サービスが行き届いてるって感じがしますね。」
「いえいえ。マケニアの瞳は、かなりポピュラーな商品ですので、対応もある程度こなれているだけですよ。一度に5セットも注文なさる方はなかなかいませんが。」
「そうなんですか?」
おかしいな。
この世界の男は家族の女性を全員守りたいと思わんのだろうか?
代金を支払い店を出る。
あとは、何か甘い物でも買って帰るか……なんて思っていたら、イレーヌがまたどこかに行きたいらしい。
「次は防具屋へ行きましょう!マケニアの瞳のお礼に、私とサロメさんからも魔除けのプレゼントを贈りますので!」
「あの……はい……是非貰ってください……!」
「マジか。家宝にします。」
なんで顔赤くしてるのかしらんけど、美少女がくれる魔除けなんていくらあってもいいですからね。
普通のアクセサリーなら1個たりともつけたくないが。
案内された防具屋は、俺のイメージと違って若い男女が何人かいた。
てっきりムッキムキで傷だらけのおっさんたちがひしめき合ってると思っていたのに、デートスポットか何かみたいだ。
店員の服装もさっきの宝石店と似たような品のいいやつ。
防具って何売ってんだこれ。
今回俺は買ってもらう立場なので、注文は完全に任せて店内を見ていた。
この世界に来てから、あまり店になんて入っていなかったので、防具屋なんて前世では見なかったようなお店はなかなか興味深い。
その中に、カップル数組が見ているコーナーがある。
説明文によると、魔具のチョーカーらしい。
ただの金属の輪に見えて、こんなのつけるの大変じゃないか?なんて思ったけど、どうも魔術効果で首にフィットさせられるらしい。
呼吸とかの微妙な動きにもリアルタイムであわせられるから、まったく苦しくないんだとか。
外そうとすると、外せるサイズになるらしく便利だ。
女性へのプレゼントにおすすめ!って書かれているが、なんでこんなもんがお勧めされてるんだろう。
でも、そんな機能のためにわざわざ魔法使うか普通?
いや、俺にとって魔法は特別だけど、この世界では当たり前なのかも?
ディとフレイも普通に使ってたしな……。
俺には魔法と魔術の違いもわからんが、ディとフレイに言わせると全くの別物、というより魔法が根源的なルールを操るものであって、それを使いやすくしたのが魔術なんだとか。
うんわからん。
そういえば、ナナセに何かお礼を買ってやらんといけないんだった。
俺にプレゼント選びのセンスは無いが、このチョーカーがお勧めだというならお勧めなのだろう。
俺には首輪に見えるが、チョーカーとの違いって何だ?
まあいい、ラッピングしてもらおう。
イレーヌたちに対応している店員の所にチョーカーを持っていく。
ラッピングするよう頼むと、イレーヌは何かが気になったらしい。
「誰に渡すんですか?」
「ここ数日ナナセに仕事させまくってたから、お礼にな。なんかわからんけど女性へのプレゼントにおすすめらしいよ?」
「……なるほど。ならまあいいですか……気がついていないのであれば……。」
なんて意味深な事を言っていた。
暫く待っていると、先ほどの店員がラッピングした箱と、裸の宝石箱を持ってきた。
これ防具屋の商品なんだよな?
そんな事を想っていると、イレーヌとサロメが裸の宝石箱を2人で持ち、俺に差し出してきてきた。
「受け取ってください。」
「……どうぞ?」
高校の時下駄箱に手紙が入っていた時くらい嬉しい。
内容は、「だれだれ君に渡してください」だったが。
開けてみると、青と紫の小さな金属プレートがつけられたチョーカーだった。
これが魔除けになるのか。
皆魔除け好きなんだなこの世界。
とりあえず、ありがたくつけさせてもらう。
目の前で着けて見せただけのに、イレーヌとサロメがもじもじしてるのはなんなんだ?
ホント今日この2人どうしたんだろう。
可愛いけども。
何故かガラテアはいじけているが。
防具屋から出てからは、食材を買い込んで4号に詰め込み、意気揚々と帰る。
今日は、かなりリア充っぽいことしたなぁ。
前の世界ではついぞしなかった事ばかりだ。
カフェにすら入ったこと無かったぜ!
夕方になり、夕食の準備をしていたら、ディとフレイが帰って来た。
早速魔除けのイヤリングを渡すと、お礼と共に抱き着いてほっぺにキスをしてくれる。
やっぱ娘っていいな……。
いや、娘じゃなかったわ。
本当にこいつら変な能力持ってないよな?
不安になってきた。
ちゃんと確認したのに不安になる。
その後、最後に帰って来たナナセにイヤリングを渡した後、その日の俺の記憶は途切れた。
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