第18話
「あの。」
「はい。」
「違うんです。」
「そうなんですか?」
「ミスリルとオリハルコンでできた3号を作ろうとしただけなんです。」
「それが何故少女に?」
「イメージがブレました。」
「ブレるとこうなるんですか?」
「自分でも驚きです。」
現在、魂の宿ってないロリ人形2体を前に、両側から非難のオーラをバシバシ浴びせられてます。
「もう一度詳しく説明してもらえますか?」
「はい。神粘土は知ってますよね?アレの性質を変化する練習しようとしたんです。それで、銀色っぽいイメージのミスリルと、金色っぽいイメージのオリハルコンの3号を作る予定だったんです。その途中で、イレーヌ様とサロメ様が俺の子供を生んでくれたら、今この腕におっぱいが当たってる状況よりも幸せになれるのかなって雑念が混じり、気がついたら3号くらいの身長の女の子ができてました。許してください。」
正直に、誠実に説明する。
気分は死刑宣告を待つ囚人の気分だ。
ロリコンの誹りを受けるのに比べたら、まだ首を撥ねられてから生き返る方が気が楽かもしれない。
「成程、つまりダロス様は、私との間にできる子供はこんなに可愛いと思って下さったという事ですね?」
「……私にも、赤ちゃん産んでほしいんですね?」
変な方に思考が曲がって行ったなこの娘達。
「わかりました。許します。」
「私もです。」
それでも、なんとか納得して頂けたようだ。
一安心一安心。
「では名前を付けないといけませんね。私は、自分と同じ髪色の金髪の娘にしますね。」
「イレーヌ様がそちらの娘を選ぶのであれば、私は銀髪の娘ですね。」
「ふふ、良いお名前を付けて上げましょうね。」
なんだろう……なんか子供を見守る母親みたいな表情になってるんだけど……気のせいだよな?
てか、まだ形ができただけで魂も付与してないんだからいくらでも作り直せるんだけど……?
いや落ち着け。
今からこの娘達を作り直しますとか言ったら本気でキレられそうだ。
ここは好きにさせておこう。
「決めました!この金髪の女の子は、今日からフレイです!」
「……では、銀髪の娘はディにします。」
はい名前まで決まっちゃいました。
もう鋳造しなおしとかできません。
小学校で生徒に豚を飼わせて最後に食わせるレベルのスプラッタになります。
ナンバリング的には3号改って感じだけど、番号呼びするのも怒られそうだな……。
「それでは、魂を付与して頂けますか?フレイには、できるだけ誠実に育ってほしいです。」
「ディには、自由にのびのびと成長してほしいと思います。」
成長……すんのか?
まあいいや。
条件を殆どランダムにして、例のアフロディーテ様ボディと同じようなルール付けにする。
性格だけ誠実と自由に設定。
もうどうにでもなれ!魂付与!
状況はどうあれ、やはりランダムで魂をデザインするのは、ガチャを回す時のようにワクワクする。
スマホのゲームは、正直ガチャをするためにやっていた。
課金はしなかったけれど。
一呼吸を置いて、2人の女の子たちが目を開ける。
そのまま俺の方を見て、同時に口を開く。
「「初めまして、主様。」」
うんうん、問題なく魂が付与できたようだな。
とりあえずの責務は果たせたようだ。
美少女2人にキレられるかと怖かったぞ。
続いてロリ人形たちは、それぞれの名付け親を見つめた。
「素晴らしいお名前をありがとうございます、お母様。」
「きゃああああああああ!この娘は確かに私の娘です!ありがとうございますダロス様!」
いいけど、違うと思うよ?
「カッコいいお名前ありがとね、ママ!」
「……あ……ああ……!はい!ママですよ!」
まだママじゃないと思うよ?
まあ、いいか。
2人とも喜んでるみたいだし。
2人が喜んでくれれば俺も喜ぶ。
「なんか騒がしいっスね!どうかしたんすか?」
「……人形、増えてない?」
おっと、姉2人の登場だ。
妹ができたんだよ。
俺の知らないうちに。
俺は、2人に簡単に事情を説明しておく。
「あー、確かにこの娘達は成長する設定になってるっぽいっスねー!って言っても通常の人間より大分早いと思うっスけど。」
「……私たちも成長はするけれど、それは性能面。この娘達は、肉体も含めて成長する。」
「へー。そういう設定も存在するんだ?」
「いや存在しないっス。主様が作っちゃったんスよ。ジブンたちみたいなのは最初から完璧な見た目で生まれるってのが大前提なんで!」
「……妹。私に妹……。」
人形って子供で生まれるもんじゃないのか。
子供で生まれた人形は子供であることが存在意義って事か?
へー。
そして今まで、というか2日位だけど、末っ子だった奴は妹ができてうれしいらしいな。
「早速、この娘達に外の世界を見せて上げねばなりません!行きますよサロメさん!」
「はい、お供します。」
そういって、自称ママたちが子供を引き連れて出陣していく。
公園デビューかな?
それに何故かガラテアも一緒についていく。
妹…妹…とつぶやいてるから、まあ平気だろう。
部屋に残されたのは俺のみ。
かと思いきや、ギリギリまだ一人残ってるじゃないか!
「ナナセだけは俺を見捨てないでくれるんだな!」
「へ?当たり前じゃないっスか!じゃあちょっと狩りに行ってくるっす!美味しいお肉楽しみにしててほしいっス!」
そして誰もいなくなった。
静かでよく眠れそうだ。
俺は療養中。
だからこれがベスト。
そのはず。
あれ?成長する人形なんて作ったからか、ジョブレベルが上がってるっぽいぞ?
……でも今は確認する気にならないや。
ちょっとだけかび臭くなったボロボロの3号と一緒に天井を仰ぐ。
やっぱ3号なんだよなぁ。
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