スキット 挑戦直前
ヴィラン達が控える為に用意された特設セット。その中央に鎮座するゴージャスなソファーに深々と腰かけたDependence。彼女は、その時がきたことに蛇の様な笑みを浮かべていた。
「二人とも熱く韻を踏んでおり、重畳。だが、禰寧音の方が、勝ちたいという意思を強く感じたな。ライミングだけで言えば、最後の27には目を見張るものがあったが……。それが相手への称賛だったからな。より即興で勝つ為にアンサーをしていたのが禰寧音だった。誰もが予想していなかった顛末だろうが、これが妥当と言える」
押韻至上主義者異挫無未による、先のバトルへの批評。モニターに映し出されたリアルタイムの映像が、最後のヴィランの出番が来たことを告げている。
「や~、になちまで負けちゃうとはね~。ま、うちに勝ったしトーゼンか!」
ラスボスの隣に座り、そのタトゥー塗れの腕に抱き着いているAsh blossom。怖いもの知らずを絵に描いたような状態の彼女はあっけらかんとそうコメントした。
「あいつは俺が先に倒したかったんだけどね。まあこればっかりは仕方ない」
そう答えるDependenceも、仕方ないと言いつつ不敵な笑みを浮かべている。
「今宵は其処に底知れぬ闘気躍り出る……」
「そうだな。この場の空気は、完全に禰寧音ねね一色に染まった──。」
2人とは向かい合って高級ソファに身を預ける、スピリチュアル美女とサブカル美少女はそうつぶやいた。
「それは朗報だ。悪党はアウェーこそ華だもんなぁ……」
覚悟を決めたアンダーグラウンドのカリスマ。
扉を開けてステージに向かう彼女の背中を、三人の仲間はそれぞれの想いを胸に見つめていた。
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