三度、少しだけ?変わった日常 その1

 双方帰宅部の私たちは、周りの目をさほど気にせずに帰りをともにした。


「一花ちゃんスーパーで何買うの」


「今日は卵が安いんです。コンビニより少し遠くのスーパーですけど大丈夫ですか?」


「うん、じゃあ行こうか」


 先輩の手が私に向かって差し伸べられる。


「……お手?」


「鈍いなあ」


 先輩はそう言うと私の手を繋ぐ形で掴んで引っ張った。


「こういうことしてると勘違いされますよ?」


「一花ちゃんにならされてもいいかも」


「刺されるのが嫌なので遠慮しておきます」


「何それ?」


「なんでしょうね」


 今度は私から繋がれた手を引っ張る。


「早くいきましょ、売り切れなんてなってたら明日のご飯に困ってしまいます」


「そんなことないと思うけどなあ」


 売り切れなんてならないという意味か、ご飯には困らないという意味か。考えるだけ無駄だと判断して私たちは歩き出す。


 結果、残りは1パックしかなく、走ればよかったと後悔することとなった。

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春のふたりは百合の中 瑠璃唐草 @Nemophila25

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