第8話 学習できるARグラス

少年は部屋で雑誌を読んでいた。

ふと、広告を見ると黒い眼鏡のようなものを、

紹介しているページが目に入った。


その広告には『ARグラスで学力UP』と謳っていた。


「これはすごい! さっそく注文しよう」と少年はすぐに注文をした。



数日後。


届いたARグラスをさっそく着けてみた。


グラスをかけて、部屋を見渡すとタンスの上の置いてあった養正テープが、

ゴロゴロと転がって、今にも落ちそうだった。


「おっ」と声を出す暇もなく、テープは落ちていった。


落ちている途中に、ARグラス内に物理公式が表示された。


y=(gt^2)/2


というやつだ。


ちゃんと落ちてからの時間tの数値もリアルタイムで変化しているし、

yの数値も変化している。


少年は、なかなか役に立ちそうだと思い、街へ出かけた。


「ハーイ」と外国人がこちらに向かって話しかけてきた。


少年は都合がいいと思い、ARグラスに何か表示されてないか、

視界の隅を見てみると、下部に『I hava a car.』と表示されていた。


「何言ってんだ。この人。」と思いつつ、あらためて、ARぐらいの効果に驚いた。



続いて、本屋へ入った。


そこで本を読むと、文章の漢字の意味がARグラス内に表示された。


例えば、『家に帰ったら~驚いた。』というくだりの場合、


家:カ.ケ/ク,コ/いえ,や

帰:キ/ケ/かえ・す/かえ・る

驚:キョウ/ケイ/おどろ・かす,おどろ・く


のように表示される。


「このグラスはすごい! 学力もどんどん上がるだろう。」と少年はつぶやいた。




学校の定期試験の日。


少年「問題を見ただけで、脳内に答えが浮かんでくるぞ。見える。私にも答えが見えるぞ!」


「こらっ山田!」と少年に向けて、監督の先生が大きな声をかけた。


先生「何を着けて、試験をしているんだ!」


「しまった! ARグラスをしたままだった。」と少年。



うっかり、グラスをしたまま試験に臨んでしまったようだ。


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